川邊氏:何かを一緒に体験することがいいんでしょう。それは釣りでも何でもいいと思いますが、サウナはその時々のドラマがありますよね。耐えられるだけ入って、水風呂が苦手な人が声を上げながら入るとか。その後で体を拭くと、体内から温まる感覚がして気持ちいいとか。苦しいことも楽しいことも一緒に体験できるという点で、サウナは人と仲良くなったり、チームワークを育んだりするには有効なツールだと思います。
サウナで仕事の話は…
サウナで深まった仲が仕事に生きた、というような経験はありますか。
川邊氏:やっぱり一緒に入った相手とは仲良くなりますし、価値観も共有できる。普段会うときも「またサウナに行こう」なんて話ができる。長い目で見ればサウナは仕事に生きていると思います。
ただ未上場のベンチャーの経営者たちが仕事の話をサウナでする分にはいいと思いますけど、上場企業の情報(に関わる話)はインサイダー取引の温床になり得ます。(様々な人がいる)サウナではそういう話をしない方がいい。最近はサウナブームでいろんな人がサウナに行くようになったので、サウナのマナーの一環として「上場企業に勤めるサウナーは仕事の話をサウナでするな」というのは定着させたいですね。
そういう意味で、僕も商談に近いような会話をサウナですることはないです。一緒に行った人が仕事の話をし始めても止めるくらい、その点は気をつけています。せっかくのサウナが楽しくなくなってしまいますしね。リラックスしたり、仲良くなったりするためにサウナに来ているわけですから。仕事の話をサウナでするのはコンプライアンス(法令順守)的にも、サウナの楽しみ方を踏まえてもあまりよろしくないでしょう。
ヤフーは居住地の自由化や週休3日制の一部導入など、自由な働き方を打ち出しています。川邊さんが忙しい中でもサウナに日々入る時間を確保しているように、ある程度の余裕がないと仕事もうまくいかないという考えからなのでしょうか。
川邊氏:気分を変えることは仕事においてすごく重要ですよね。特に今はオンライン会議などが連続して、気分が切り替えられないままずるずるといってしまう、なんてことがよくあるでしょう。そんなときにパッとリラックスできる自分なりの何かがあるといいと思います。
家にサウナがあれば昼休み中にササッと入るとか。そんなことはリモートワークが浸透する前は絶対できなかった。でも今の時代だからこそのメリットは大いに活用すべきです。
気分が変われば、仕事に前向きな気持ちになれます。例えば19年にZHDはZOZOを子会社化しましたが、その交渉がなかなかハードで……。そんなときに自宅でサウナに入って気分を切り替えて「よし、やり切ろう」と館山の海に誓った、なんてこともありました。
仕事を進める上での雑念を振り払う場になっているんですね。
川邊氏:ビジネスパーソンは普通、いろんなものの板挟みになって苦労します。だから、気分転換できる場をつくっておかないといけない。経営者のように様々なプレッシャーがかかり続ける人は特にそうです。
私にとってはそれがサウナなんです。サウナがリセット&リラックスの場になっている。「あなたはサウナがなくても仕事で成果を出せるくらい幸せな環境にいるんですか」と聞きたい。どんな人にもそういう場は必要でしょう。
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