古参にとっては居心地が悪い。

浅田氏:時々帽子をかぶっているやつがいるんだよ。頭にタオルを載せておいた方がいいじゃないかと思いますね。なんであんな格好をしなきゃいけないんだ。アレはブームの嫌なところだね。型にはめようとしてくる。制服を着て学校に行くのとよく似ています。ああいうのに従うのはそういういい子なんでしょうね。

サウナの入り方というか、「型」のようなものもいろいろな場所で吹聴されていますね。

浅田氏:そんなのはだめだよ。不自由じゃないか。やはり自由を求めて訪れる場所だもの。勝手にやらせてよと。

「あか抜けていない」やつら

本能の赴くままでいられる場所ですもんね。

浅田氏:そうそう。勝手にやっていたらとんでもないことになるかというと、そんなこともないんですよ。勝手にやっていると、自然と理想型は皆似てくる。大体皆タオルを頭の上に載せるとか。長いキャリアを持っているなと思われる人は姿勢も大体同じですね。「あか抜ける」にはキャリアが必要です。

私はつい、サウナで水風呂に頭までつかる人とか、マナーに反している人には冷たい目を向けてしまうのですが、これもある種本能の赴くままの行動ではある。寛容になるべきなんですかね。

浅田氏:でも最低限のルールはあるからね。サウナの中で熱い熱いと言ってうなって落ち着かないやつ、これが最低だね。みんな熱いんだから。禁句だよ。あとは室内で汗を周りに払ったり、体操やマッサージをし始めたりするやつ。これもやっぱりだめ。そういうやつらが「あか抜けていない」ということ。長く入っていると何が快感で、何に不快感を覚えるかというのは分かってくる。だからこそ、落ち着いてほぼ同じ理想型の入り方に帰結する。ブームのときはトラブルも多そうだね。昔と今ではサウナは別物。だからいいときに体を壊したなと思います。

日本にはテレビが設置されたサウナも多いが、これは日本独自の文化だ
日本にはテレビが設置されたサウナも多いが、これは日本独自の文化だ

サウナの機能的な魅力はどこにありますか。

浅田氏:サウナの魅力は身体的快感。当たり前だけど、気持ちがいい。これに尽きますよね。いろいろな楽しみ方があると思うけどね。まぁでも、時々ダイエットのためにという人がいるけれど、その効果がないことは間違いないですよ。抜けるのは水分だけで、一過性の体重減少。その代わり、一時的に体重を落とすコツは覚えられる。僕は全盛期、体重が60kgくらいだったときでも半日で3kgくらいはすぐ落とせましたね。

 長く入っていると汗腺が広がるんですかね。だから、サウナに入っていてこいつはだめだな、こいつなかなかやるな、というのは汗の出方で分かる。なかなか汗が出ないやつは苦しそうで、こいつはまだ初心者だね、と。分かっている入り方をするやつはすぐに背中から汗が出てくる。なかなかやるなと。

汗が出ると苦しさもそんなにないですよね。

浅田氏:そう。汗が出る分、体温を放出できるんでしょうね。汗をかきづらい人は苦しいだろうと思いますが、でも長く入っているとだんだんと汗が出やすくなっていきます。

浅田さんはサウナの中ではどのように過ごされていたんですか。

浅田氏:僕はサウナの中では無念無想ですね。昭和50年代くらいかな、サウナにテレビが設置され始めた頃、すごく嫌だったんです。テレビがあったらつい見ちゃうじゃない。別にテレビを見ていたら辛抱できるというものでもない。入浴後に見ればいいのに、サウナの中にテレビかよと。僕はなるべく見ないで隅っこにいるようにしていました。

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