「サウナでととのう。イオンウォーターでさらにととのう。」。近年、サウナ施設ではこんなキャッチコピーが掲げられたポスターを見るようになった。大塚製薬は2019年ごろから、サウナを「ポカリスエット」や2013年発売の派生商品「イオンウォーター」の魅力を消費者に再認識してもらう場として活用しようとしている。

大塚製薬はサウナを「ポカリスエット」ブランドの魅力を再認識してもらう場として期待し、商品の取り扱い施設数を増やす。館内にはこんなポスターが貼られているのをよく見かける
大塚製薬はサウナを「ポカリスエット」ブランドの魅力を再認識してもらう場として期待し、商品の取り扱い施設数を増やす。館内にはこんなポスターが貼られているのをよく見かける

 1980年の発売当初から、ポカリスエットを販売している温浴施設は多い。ただ最近はこうした施設などから「イオンウォーターの売れ行きの方が良い」との声も聞かれるようになった。大人をターゲットに置き、薄味にしてあるイオンウォーターは「サ飯」などにも合わせやすいことがその一因だ。

 そこで大塚製薬ではサウナ人気の盛り上がりに歩調を合わせるように、イオンウォーターの取り扱い施設数を増やしていく方針を取った。当初は60施設ほどでしか取り扱いはなかったが、今では少なくとも1600ほどの施設で販売されているという。

 とはいえ販路として、サウナ施設は決して大きくはない。それでも大塚製薬がサウナに焦点を当てる理由は何か。

社会人をポカリ好きに戻す

 「若い消費者は22歳ごろに一旦ポカリスエットなどへのなじみがなくなってしまう」。こう話すのは大塚製薬でポカリスエットブランドを担当する原康太郎氏だ。学生時代は部活動で激しい運動をした際など、ポカリを手に取りたくなる機会が多い。ただ、社会に出ればそうした機会は減り、自然とポカリが縁遠い存在になる。

 「お酒を飲んだ時に」「熱中症対策に」……。大塚製薬のウェブサイトではポカリの多様な飲用シーンが提案されている。それもこれも、全ては水分補給が必要な場面でポカリを飲んで、その製品特徴を再認識し、ポカリを日常の片隅に置き続けてもらうことが狙いだ。

 そんな中、サウナは大人でも大量の汗をかく数少ない機会といえる。しかも現在の人気の中心にいるのはZ世代。入浴前後にポカリなどで水分補給をすれば、身体の水分に近い成分でできていることで身体に負担をかけることなく、素早く水分を吸収できる、という製品の魅力を体感してもらえる。

 「若い世代からの売り上げは徐々に伸びているほか、調査ベースではサウナでポカリスエットなどを飲んだ後、日常の中で再購入するという人も増えているようだ」(原氏)。健康食品を手掛けるユーグレナも、1月から東京・自由が丘の銭湯で自社飲料を無料配布。無理のない気軽なサウナの入り方を提案するなど、サウナは企業と若者をつなげる媒介としても機能し始めた。

 サウナに縁のない人は、数々のエピソードから垣間見られるサウナの不思議な引力の源は何なのか、理解に苦しむかもしれない。ただ、日経ビジネスはこの「熱気」が停滞する日本経済の突破口になり得ると見る。連載「現代の茶室、サウナ」ではどうやらブームで終わりそうにない、その魅力を解き明かしていく。 

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