日経ビジネス電子版の読者の皆さんは、お子さんがそろそろ社会に出ようという方も多いでしょう。息子さん、娘さんとは、日頃お話をされているでしょうか。小学校時代ならいざ知らず、高校、大学ともなってくると、それぞれ自分の世界を持つようになり、親との会話は二の次、三の次になりがちです。それはとてもよいことだと思います。
一方、親の方からすると「社会に出て親元を離れる前に、伝えておきたいことがある」と思いながら、照れくささやきっかけのなさから、なかなか話しかけられなかったりするのではないでしょうか。そしてふと、自分の親が「そういえば何か言いたげだった」ことを思い出して、あれはそういうことだったのか! と気がつくこともありますよね。
この連載では、就職活動に臨む大学3年生、社会に出る直前の4年生の有志に、「自分が最近体験して思うこと」「改めて自分自身を見つめて思うこと」を、書き綴ってもらいました。掲載に至るまでにはオンラインでのネタ出しから始まって、出稿、指導、リライト、ダメ出しを繰り返し、半年がかかっています。「なにも書く事なんてない」と思っていた彼ら彼女らが、指導の先生、そしてオヤジ代表の私との対話を通して、自分の中に潜んでいた体験の価値に気づいていく様子は、なかなか感動的でありました。そして、思うことや事実を箇条書きにしただけだった文章が、次第に、自らの親への「卒論」とも言える文章になっていきました。
今回この企画を立ち上げたのは「大学生に、他人に読ませる文章を書く体験をさせたい」とある先生からご相談を受けたことがきっかけです。「日経ビジネス電子版」にしてはビジネスに役立つ視点が少ない、と思われるかもしれませんが、親離れする時期を迎えたお子さんとの会話のとっかかりにでもなれば幸甚です。どうぞ温かい目でお読みください。(担当編集Y)