部品や材料の調達難と価格高騰はまだまだ続きそうだ。コロナ禍や異常気象、それらに伴う物流の混乱、最近ではウクライナ問題も大きな影を落としている。こうした部材調達の課題に対して、ものづくりの現場で大きく見直しが進んでいるのが在庫に対する考え方だ。日経クロステックが2022年2月に実施したアンケート調査で寄せられた自由記述から、その実態を探った。

 図1は、「あなたが所属する企業・組織では、在庫の量(部材および製品の在庫量)を見直す取り組みが始まっていますか」という問いへの回答だ。「既に見直した」(41.3%)、「検討を始めている」(37.6%)を合わせると、8割近くが在庫の見直しに取り組んでいる。

図1 「あなたが所属する企業・組織では、在庫の量(部材および製品の在庫量)を見直す取り組みが始まっていますか」に対する回答結果
図1 「あなたが所属する企業・組織では、在庫の量(部材および製品の在庫量)を見直す取り組みが始まっていますか」に対する回答結果
回答数は270。回答者プロフィールは記事末尾を参照。(出所:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

「“在庫は悪”ではなくなった」「JITでの部材調達は難しくなる」

 では、在庫をどのように見直そうとしているのか。基本的には、在庫量を増やす方向の見直しが多い。十分な在庫を持ち、部材調達が滞っても自社の生産活動に影響を与えないようにするという方策だ(以下、太字の「」内はアンケートの自由記述の回答)。

「まさかと思う時代となり、情報の収集と顧客とのコミュニケーションをさらに密にする必要性が高まっている。小物部材は従来よりも在庫量を拡大する予定。材料の入手には特に困っており、最大の課題となっている」

「部材不足、在庫不足のスパイラルに突入しつつある。現実在庫の見直しが必要な時期に来ている」

「サプライチェーンが複雑化する中、流通網の逼迫によって必要な部材が届かないことがあり、社内でも『在庫は悪』との考え方が変わってきていると感じている」

 在庫を多く持つことが競争力につながるという意見もあった。

「在庫の持ち過ぎは無論問題だが、持たな過ぎるのも困りもの。特に納期変動(繰り上げ)や数量増などの対応にはある程度の在庫が必要。納期の繰り上げ対応で小回りが利くと顧客に認知されて会社が回るという側面もある」