『日経ビジネス』は経済誌としての50年以上にわたる歴史の中で数多くの名経営者や元宰相らにインタビューしてきた。現役を退いた方や今では鬼籍に入って話を聞くことのできない方を中心に、時代を体現した“寵児”たちのインタビュー記事を再掲する。

(注)記事中の役職、略歴は掲載当時のものです。

2005年10月3日号より

 来年発売予定の次世代ウィンドウズ「Vista」の技術革新に自信を示す。鈍化した成長率は、ソフトの重要性が増すので再び高まると主張する。検索エンジン大手のグーグル追撃を果たせるか。
(聞き手は本誌編集長 井上 裕)

 次世代ウィンドウズ「Vista(ビスタ)」の発売が近づいています。どんな変化が起きるのでしょうか。

 ウィンドウズの進歩は、利用者、ソフトウエア開発者、IT(情報技術)企業のすべてにとって良いものでなければなりません。利用者にとっては、文書や画像などの情報を簡単に見つけられることが明確な改善点です。ビスタでは非常に高性能な検索機能を提供します。無線接続、セキュリティー、操作スピードなどあらゆる機能が改良されています。ビスタを使えば、「ウィンドウズXP」と違うことが明らかに分かります。ビスタは新型パソコンのほとんどに搭載されるのでパソコンの買い替え需要を後押しします。

 発売は、2006年後半までに実現したいと思っています。初期公開版のフィードバックを得て、正確なスケジュールを明らかにします。

 6月に東芝と次世代DVDや包括的な特許の相互利用で提携しました。同時に携帯電話など様々な分野で、パートナーを増やしています。マイクロソフトの提携に関する考え方はどのようなものですか。

 マイクロソフトはIBMがすべて自前でやってきた事業を、非常にオープンでグローバルな産業に作り替えました。マイクロソフト自身は、OS(基本ソフト)のウィンドウズという1つの魔法の部品しか提供していないので、ほかはすべてオープンです。

 当社が重視するのは、「自分たちはその分野の第一人者と仕事をしているか」ということです。当社には1万社以上のパートナー企業があるのですが、最も密接に共同開発しているのは米インテルです。マイクロプロセッサー(超小型演算処理装置)はパソコンにとって重要な部品です。ほかにはパソコン大手のヒューレット・パッカード(HP)やデル、東芝、NEC、富士通などがあります。

ビスタで新しい価値提供
成熟企業にはならない
ソフトの力には限りがない

 さらに自動車分野では日本が最も革新的なパートナーです。日本車のカーナビゲーションの進化にはいつも驚かされます。当然、カーナビには多くのソフトが関係しており、そのかなりの部分で当社の「ウィンドウズCE」というOSが使われています。

 自動車向けソフトのプログラムは、以前は数千行で事足りていましたが、今では数百万行が必要となってきました。その結果、日本の自動車メーカーとの関係は非常に緊密になりました。ソフトの役割が大きくなると、私たちの役割はより重要になるからです。

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