エネルギー資源の遍迫感は続こう

 物不足の深刻化に対処して、戦時の「物動計画」的なことを考えようという空気さえ生まれているようです……。

 そこまで行く必要はないんじゃないですか。僕はエネルギー資源、鉱物資源、衣食住資源の三つに大別して、エネルギー資源は今年よりも来年、再来年と遍迫感が続いていくと思う。あとの二つは落ち着くと思う。エネルギーの問題は、いますぐ大量の天然ガスを持ってくる、原子力開発を速める、そういう努力は必要だが、時間がかかりますからね。従って、当面は石油に頼るほかない。

 世界の石油の需給が好転するファクターがあるかどうか考えてみると、世界最大の油の消費国である米国は、ニクソン教書にも出てますように、ますます積極的に手を打ってくるだろう。供給側もOPECの相当な動きが予想される。国家として本当にしっかりやらなきぁいかんのは、エネルギー資源の対策です。

 企業が安定成長に悪乗りしている面もあるのではないか。今までは量産効果を追求してコストを下げ、シェアを高めてきた。最近は寡占体制が強まって、企業はとにかく値上げで経営していこう、という傾向が支配的だと思うのですが。

 僕は意識的に企業が値段を上げるということよりもですね、コストが高まりつつあることからくる、やむをえざる値上げ傾向はあると思う。

在庫をいまふやすのは危険だ

 思惑的な在庫増加というのは本当にないだろうか。

 生産者在庫量をみると、47年8月を100として48年6月の状況は、綿糸が83、棒鋼74、包装紙33、合板103、塩ビ96、セメントは109、といったように、在庫はふえていないんです。たとえば、私どものような会社が、こういう時期にです、たとえばですよ、商社が在庫を持つことは、むしろ危険です。そりゃあ、もし値段が下がれば非常な損を被りますからね。

 むしろいま社内に指示しておりますのは、各営業部門の在庫をできるだけへらせ、ということです。金融も締まってますから、在庫があればそれだけ大きな金利も負担しなければいけない。そういう点から、在庫の減少を強く指示しています。

 それから、末端まで物がそんなにはけているのか、というそこがねえ、私なんかにはよく分かりませんが、製品自体はよくはけています。しかし、原料や中間製品は、ある程度以前より多い在庫を持つという傾向は、あることはあります。こういう時代は、製品と原料は違った動き方をしますね。

 商社が在庫減らしに踏み切ったというのは、需給ギャップといまの相場が落ち着く時期が近い、という経営的判断からでしょうか。

 それもありますね。

 買い占めだなんてあんまり言われるのはいやだ、ということでは……。

 いや、そんなことからではありません。

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