行政改革
日本くらいになれば国防・警察・教育以外は全部民間でやればいい

 そういう中で鈴木内閣の最大の試金石が今度の行革だと思うんです。臨調の答申をやれるかやれないか。

 非常に常識的な答申だと思いました。この行政改革というのは必然性がある。答申の有る無しにかかわらず、行政機構の整理、合理化は当然行わなければならないところまできている。そこへこの答申が出たというのだから、少なくともこの答申程度のものをやらなかったら、一体どうするのか。第2次、第3次となると、省をいくつにするか、庁とか行政委員会といったものをどういう風に整理統合するのかという話になる。それに比べたら、今度のはまだ1省をつぶすというのじゃない。

 答申の中にある補助金の一律削減というのをどう評価しますか。

 低所得者で社会的恩恵も家族の恩恵も一切受けられないというところに与えている補助金も、法律の目的なんかすでに15年も前に終わっている補助金も、一律に10%削減というのはおかしいじゃないかというのは、その通りです。しかし、行革の手法としては一律削減という風にやらざるを得ない。これはたどらなければならない一つのやり方ですよ。

 ただ、その中には政策目的が終わっているから、1割でなく3割とか半分にしてしまおう、あるいはこれをやめてしまおうという種類の取捨選択はこれから出てくる。全部一律削減にしたらだめですよ。

 そもそもを言えばですね。国が何でもやるのは社会主義国で、民主主義国、自由主義国の中では政府のやるべきことは最小限でなければいけない。日本くらいになったら、国防と警察と教育だけ税金でやって、あとは全部みんな民間でやる。国民の英知と国民の結集にまかせるのが先進国というものだよ。官僚機構がすべての日本人を抑えるのは、低開発国時代の考え方だ。

 一般会計の分を財政投融資にもっていく。財政投融資の分を民間金融に譲る。銀行行政のものを証券行政(直接資本)にもっていく。そして最後には税制を運用していく。民間企業活動の誘導は税制の運用でやり、直接規制はできるだけやらないわけさ。こうしないと権限の委譲はできないんじゃないの。そして、これが先進国における理想の姿なんだ。しかし、そういう意味の行政機構の改革は10年はかかるね。

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