消費の悪循環はとんでもない間違い
問 ところで、政府は所得税減税を見送って、公共事業支出の拡大でこの不況を乗り切ることを決めましたが、この点、どう評価されますか。
答 公共投資というものを分解して行くとこれは時間のかかる要素ばっかりはいっています。景気浮揚を急がなければならんということなら、消費を盛んにする以外に何ものもないんです。消費ということが、戦争の遺物で罪悪視されているようなところが大いにあるんですけど、これはとんでもない間違いだと思いますね。
フランスなどは、去年の9月に社会保障給付金を引き上げ、子供と老人に3500億円もの小遣いを出し、またことしも同様なことを計画してますね。そういう消費刺激をやっているのに、日本では所得税減税をやらないなんて言ってるんだから、景気浮揚策なんてほんとうに、わかっちゃいないんですよ。
アメリカなんかは自動車というものを非常に大きな指標にして大切にしていますよね。指標にするだけじゃなしに、どうやって自動車の売れ行きというものを冷やさないようにするかということを国全体として考えている。
日本の場合は自動車がふえてもらっちゃ困るという強い声もあるし、たしかに自動車はふえちゃ困るけど、売れなきゃ困るんですよね。少し年代の古い自動車なんかは開発途上国へ安く国が手伝ってでも持っていけるようなことを考えるといいんじゃないですかねえ。
開発途上国のものをうんと買って日本のものを出していけるような相互的なプランニングがほとんどされていないんですよね。向こうのマーケットを育てるために何をしなければならないかという検討が非常に遅れていますね。
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