本質的にわれわれは働くことが好き

 最近、日本人の勤労意欲が変わってきたとは感じられませんか。

 日本人が働かなくなったという見方はありますが、やはり本質的にわれわれは働くことが好きなんですよ。しかし、これまでイージーに繁栄してきましたから、そんなに一生懸命、働こうが働くまいがあまり違わなかったということはあります。だから、これから働くことがリアルに繁栄に結びつくようになれば、もっと違ってくるんじゃないですか。

 ただ、日本人同士の過当競争は依然、世界でもいちばん厳しいですね。学校が終わったら、いっせいに皆が塾に行くなんていうエネルギーをもっと、うまい方向に転換できないかという気もしますけど。

 理性を忘れて競争する体質はどこの国よりひどいことはたしかです。ですけど、それがまた、働くことにもつながっているんで、私は過当競争的体質もあながちいけないとは言えないと思いますよ。

 子供のときから皆が塾に行って勉強するのも悪いこっちゃないと思います。しかし、いったん入学したあとの学校のあり方がよくないですよね。特に、大学生なんか、もう過当競争しなくても済んじゃうようになっているところに問題があるんです。

 その点、かねて教育問題、それも特に、幼児教育に関心を向けられてきたのは、どういうきっかけなんですか。

 コンピューターにたとえると、いまの教育ってのは、でき上ったコンピューターにインプット(投入)することばかり考えているが、幼児教育ってのは、そのコンピューターそのものをつくるってことなんです。人間、生まれたときはコンピューターの配線はできてないんですから。2歳までの幼児をどんな環境に置くかってことが肝心なんですね。

 天才をつくるってことじゃなしに、もっと生理的な問題なんです。ですから、教育効果は生まれたときが、いちばん高く、あとになるほど低下します。教育費用は逆に遅くなるほど、高くなるわけで、大学教育だけに金をかけるのは、いちばん効率が悪い。なんとか幼児教育を改革して、次の世代に期待をかけたいんですよ。

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