「企業あっての日本」経営者は勇気を

 大企業の立派な研究所から優秀な技術が生まれるという神話は崩れたわけですね。

 そりゃ、もう何世紀も前の話で、いまは、研究者に明確な目標を与えなきゃだめです。なにかいいタネが生まれたら、そのタネを生かして産業に持ってこようというのは非常にパーセンテージが小さくなっています。このあたりが、いまの大学とか研究所が基本的に考え違いしているところですよ。

 やりようによっては、まだいくらでも企業は成長していける余地があるというわけですね。それにしては、いま大方の経営者は自信を喪失し過ぎていませんか。経営者がほんとうの意味でリーダーシップの発揮を要請されるのは、これからだと思うんですが。

 まあ、エコノミック・アニマルだとか言われるけど、企業がもっと日本のモーティブ・フォース(牽引力)にならなきゃいけないと思いますね。たしかに、経営者は、もうちょっと勇気を持って、企業がなければ日本は生きていけないんだということをはっきり言うべきだと思います。

 私は経済同友会なども、その点をもっと強く訴えろと主張しているんですが。いまの地方自治体なんかをみていますと、ほんとうに企業というものが生きてこなければ、日本全体の経済というものが70%も60%もダウンしてしまうんだということが、さっぱりわかっていないんですから。

 サラリーマン経営者が多いということが、そういう点ではマイナスに働いているんじゃないでしょうか。

 そうかもしれませんねえ。優等生的に、責任を果たすとか、免れるとかいうことがいちばん大きな関心になっていますから。しかし、サラリーマン経営者の中にもアクティブ(行動的)な考えを持ち出している人もあるんじゃないですかねえ。

政治は経営には数%影響するだけ

 よく現在の混乱の原因は政治だと言われていますが、逆に経営者の方がしっかりした理念を持って、ここで勇気をもって行動すれば、政治もよくなるとも言えるのではないでしょうか。

 企業にとって政治がプラスになったりマイナスになったりすることはありますが、それは経営にせいぜい数%しか影響しません。それを政治が悪いから40%も50%も影響を受けたかの如き感覚を持ってしまうのは間違いで、政治が足を引っ張るのはそんな大きいものじゃないと思います。会社臨時特別税ひとつとってみても、全体の企業にえらいブレーキになるという考え方は間違いでしょうね。もちろん、あんな税金はやめてもらわないと困りますがね。

 政治にお蔭をこうむっている産業というものが、日本の企業を非常にイージーゴーイングにして、体質を悪くしているという面は大きいですね。だから政府のお蔭をこうむらないで、自分でやらなければならないんだってことを体験したところは、体質がよくなっていくだろうと思いますね。

 スト権ストなどにみられるように親方日の丸的なムードが、いわゆる基幹産業といわれる大企業にもはびこりつつありますね。

 まあ、これからは、自由競争というテーマが、最大の試金石になるでしょうね。経営者でも、あくまで自由競争に徹していこうとするのと、官僚統制はある程度は必要だという人種と二色に分かれてくるでしょう。実際に、統制的なことをしないとやっていけないというようなこともあるとは思います。しかし、基本的に自由競争に則して行くのか、統制経済というものでイージーにやっていくのかということをはっきり区別しないとね。やはり、自由競争の灯を消してはいかんと私は思いますね。

次ページ 300人ぐらいの工場がいちばんいい