政治に興味持つ余裕はありません
問 経営者で政治に非常に興味のある人がいますね。
答 うちはわりあいないですね。
問 興味をお持ちになったことはないですか。
答 その余裕がなかったからなあ。
問 余裕があったらどうでしたか。
答 小さい時から興味ないからねえ。だから余裕をつくらなかったんだな。どうも性に合わんですね、私は技術屋だからね。こっちも副社長にポンと本社を任せたように、人の領分には口を出さぬ。専門家にやってもらえばいい。私はそういうふうな考えだ。
問 政治が安定しているってことは大事なことですね。
答 そうですね。そのために代えるもんだからいいじゃないですか、あそこは。会社はそうちょこちょこ代わられては困っちゃうからねえ。
法律を守れぬ企業は論外のロンだ
問 企業の社会的責任ということがいわれてますが、企業の中でまず、法律は最低限守るというところから始める必要がありそうですね。
答 それは初歩の段階だと思うんですね。私はあくまで、企業をやっている限りにおいては初歩の段階、法律は守るといった段階ではいけない。道徳といったものの方が法律より次元が高いんですから。道徳からみれば法律なんかうんと低いんだもの。法律がたくさん出るということは法治国家じゃないネ。法律がなくていけることが一番、法治国家だと思うんですよ。
そういう意味において、各人がこれからの自由人というものは法律をつくらんでもいいように、お互い道徳心でいろいろなものを解決するという方向でなくちゃならんと思うな。法律を使うのは最低の人間だな。だから、法律を守れぬやつは論外のロンですよ。
問 本田技研は本田家のものではないと20年ぐらい前から考え方を固めてこられた。そういった考え方の動機みたいなものは。
答 動機じゃないけれども、みんながこの会社を大きくするにはやはりみんなが自分のものだという考え方をしなければ大きくならぬと思ったネ。そうでなかったらみんな一生懸命“モッコ持ち”やりませんよ。だから、そいつを約束して約束通りにした。
問 本田技研とかソニー、あるいは松下さんのところとかのように、一人でおこされて、世界的な企業になるという可能性は今後とも、日本にあるとお考えになりますか。
答 それは出ましょうネ。私はどんどん出ると思います。いつの世だって出る。昔だって出たんだから、いまだって出る。可能性はあるということでみんなやってもらわなきゃ進歩しないものネ。出ないと思えば、保守だけに回って、しまいにはどうかなっちゃうね。
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