その次の家庭の関心事は自分の問題だ。年をとったらどうなるか。まあ、わたしは老後のことを心配するような世の中はあまり考えたくないんです。子供が全責任をもつという社会を考えてますからね。

 しかし、現実はそうじゃない。特に、大都市では核家族化が進み、みんなが老後のことを心配している。そこで政府は5万円年金を手がけることになったわけですけど、やはり自分が一生懸命働いて老後の備えをする、ということをみんな考えるんですね。ところが、それが役に立たんということですよ。

 それから、家庭の中で大きいのは住宅問題です。サラリーマンにとって、ささやかではあるが命を賭けての願いはなにかといえば、それは住宅を持つということだ。それが地価や建築資材の値上がりで、そのささやかな願望さえ奪われている。

共産党論ずる前にインフレ絶滅を

 企業にとっては、いまのインフレはどうでしょうかね。

 事業家の方でもやはり、経済価値を測る尺度が変わるんで先々の設計ができない、長期の契約もやりにくいという問題が出てきます。それに、モノがだんだん無くなる。これは本当に無くなってしまうわけじゃあないんです。

 たとえば、鉄が市場に出てこない、そこで値段は倍にもなる。ところが、鉄は去年1億トンできてます。ことしは1億2000万トンをかなり上回っている。ところが鉄がないというのは町工場などでみんなが買い込むんです。先高だからこの際、ということになってくる。

 最近、倉庫が足りないというんでテント屋がエラい繁盛をしている。横浜あたりでははしけが飛ぶように借りられている。はしけに積んでビニールをかぶせとくわけだ。つまり、モノがあっても、引っ込んじゃうんです。政府の予算にしても、なかなか執行できない。地方公共団体なんかでも、大変なものです。

 やはり、人生なんちゅうやつは子供をどんなふうに育てるか、40歳、50歳にもなったらささやかな家でも持ちたい、といった長い目標に向かって、1日1日汗水たらすということでしょう。そういうことに生きがいとかハリというものが出てくる。

 ところが、物価がこうなってくると、生きがいやハリが出てこない。戦前のようにはならんにしても、それだけにこういう社会がどうなるか、実は大変に心配しているんですがね。

 そのイライラが発火して爆発する場合、どこに出てくるとお考えですか。

 いま共産党の問題をみんな心配してますわね。ただ、インフレというのは共産党には一番いいお座敷じゃあないんですか。だから、わたしは「共産党を論ずる前に、まず敵はインフレにある。インフレを絶滅せい」といっている。そういうインフレが社会不安につながる。

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