そうです。まさにこれが、多くの事業を抱えるGEがインテグレーテッド・ダイバーシティー(統合された多様性)を武器に、1つの企業体として持続的に成長を遂げるカギとなっています。ただし、優先課題の設定や運営制度といったものは、それ自体だけでは無意味です。迅速に行動し、結果を出してこそ意味を持つ。では、どうすれば迅速に動き、大きな成果を生み出せるか。そこには開かれた対話と互いの信頼関係が欠かせない。

 差し障りのない対話など要りません。自分の業務における問題点を上司に食ってかかれるような本音の対話を許容する文化が必要です。GEではワークアウトなどを通じ、こうした風土を培ってきました。

 オープンな対話によってさらに議論が深化し、情報の共有化が進む。信頼関係が深まることで、優れたアイデアであれば、誰の提案であるかを問わず取り上げ、組織の壁を越えた(バウンダリレス)行動が可能になる。こうした基盤の上で、目標を絶えず高く掲げる(ストレッチ)ことにより、個人と組織の力を最大化しているのです。「対話、信頼、最大化」の3要素がGEの変化対応力の源泉であると考えています。

若い社員から電子商取引を学ぶ

 GEには強烈なラーニングカルチャーがあると言われます。組織の壁を越え、あるいは他企業からベストプラクティス(最も優れたやり方)を吸収してきた。しかし、好調な業績に安住し、謙虚に学ぶ姿勢が薄れる心配はありませんか。

 その心配は全くありません。我々が知っていることは極めてわずかです。知らないことははるかに多い。GE社員は日々、より良い方法を見つけよう、他者から学ぼうと努力をしています。

 1カ月ほど前に、ロンドンに出張した時の話をしましょう。英国のある現地法人のトップから、電子商取引について学ぶためにGEの経営陣に若いメンター(指導者)をつけてはどうか、という提案を受けました。できれば20代の若い社員に付いて週3時間程度、オフィスでEコマースを学ぶ、という提案です。私は素晴らしいアイデアだと思い、帰国するとすぐに幹部社員すべてにメンターをつけるよう求めました。

 私にもメンターがいます。若い女性社員で、彼女が私のオフィスにやってきて、競合相手のウェブサイトはどうなっているか、といった話を詳しく解説してくれるのです。

 やはりインターネットのことは若い人から学ばなければダメですか。

 インターネットに関する知識量は年齢や組織内での地位と反比例の関係にあります。GEでもトップ層の知識が1だとすれば、ボトムは10の知識を持っている。若い社員をメンターに据えることで、いわば組織のひっくり返しをやったわけです。これにより、各事業部門のトップ層は極めて迅速にインターネットに関する知識を吸収できる。もし、トップ層が不十分な知識しか持っていなければ、インターネット関連のビジネスに恐れを抱き、積極的な事業展開に二の足を踏んでしまう。

 そのインターネットはGEが最優先課題に掲げる1つです。

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