ソフトウエアをビジネスに生かす──そう聞くと、EC(電子商取引)やアプリ、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を立ち上げる、導入するというイメージを持つ人は多いかもしれません。しかしながら、ソフトウエアによる改善や進化のインパクトは事業だけではありません。ここで私が強調したいのは、ソフトウエアには経営そのものの考え方を根本的に変える力があることです。

(写真:的野弘路)
(写真:的野弘路)

 ソフトウエア最大の強みは、ユーザー(顧客)がどんな経路からサービスの利用を始めたか、サービスをどう利用しているかなど行動分析がデータによってできることです。「Google Analytics」や各種マーケティングツール、「Salesforce」などのCRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)ツール、BIツールなどを活用し分析することで、オンラインでもオフラインでも顧客の好みやニーズ、傾向が分かるデータを事業に落とし込めます。では、そういったデータを経営に生かすと何が変わるのか。答えは、事業計画の立て方です。

 ソフトウエアが登場する以前の事業計画は、「今期は売り上げ目標を100%達成できそうだ」「だから来期は今期に比べて120%の売り上げ達成を目標に掲げよう」など、過去の実績ベースで、いわば「どんぶり勘定でなんとなく」年次の売り上げ目標が決まるパターンが一般的でした。

 もちろん、この方法で成功してきた企業はいくつもあり、すべてを否定したいわけではありません。ただ、現在はソフトウエアによってユーザーの行動が詳細に分かるようになりました。そうすると、よりユーザーのニーズに即したKPI(重要業績評価指標)を見積もれます。

 どのくらいのマーケティングコストをかけたら見込み顧客を獲得できるのか、商談から契約に至るまでの期間は、より商談化率が高いマーケティングチャネルは――。それが分かれば事業計画もより精緻になります。何より、事業計画に立てた各数値の背景を詳細に伝えられたら現場の納得度も上がり、動きもさらによくなると思いませんか?

 このようにソフトウエアを活用すると、ユーザーの行動に即した、より“解像度が高い”事業計画を立てることができるのです。これを私は「ソフトウエアによるKPI経営」と呼んでいます。

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