この考えをさらに強固にしたのが、「バクラク請求書」をリリースしたときです。

 これは「絶対に売れる」と確信し、リリースしたサービスでした。ところが、営業をしたら100社中100社に断られる勢いで散々な結果に。その原因を分析すると、ユーザーを悩ませていたのは請求書処理の前段階で起こる、「支払ってよいか」を判断する稟議(りんぎ)申請=プレ会計にあると分かったのです。請求書のデータ化だけでは、プレ会計でのペインを解決できていなかったため、受け入れられていませんでした。

 その後、簡単な画面イメージも見せながら「どんなサービスなら導入したいと思うか?」という問いを3カ月ほどかけて100社にヒアリングを実施し、本当の意味で「これはいける」と手応えを感じました。そして、経理業務のワークフローをサポートする「バクラク申請」をリリース。うれしいことに、多くの企業に導入いただきました。

 経費精算サービスへの参入を決めたのも、同じ理由です。お客様の生の声に触れ、既存のサービスでは解決しきれていない課題があり、私たちの技術やソフトウエアで解決できる部分があると確信したからこそ、最後発でも参入したのです。

最後発といわれてもサービスを続ける理由

 支出管理での手作業をなくす「バクラク1.0」に続いて、我々が次に着手しようとしているのが法人カードによる「バクラク2.0」。開発は既にスタートしており、年内には法人カードを提供する予定です。

 そしてゆくゆくは、支出管理を一気通貫できるバクラクシリーズによって蓄積されたデータを活用することで支出管理の体験そのものを変える「バクラク3.0」へ進みたい。

 法人間の支払いについては、海外は小切手やカード決済の比率が高くなっていますが、日本では紙の請求書が主流です。紙の請求書だとデータの共有が難しく、「誰がどんなものをどれくらいで購入したのか」を把握するのが困難です。この領域でのデータの活用は進んでいません。

 支出管理を一気通貫できるサービスを実現できれば、データの活用が可能になる。そうなれば、将来的には社員それぞれが出張先の経路や交通費を調べて経費申請するのではなく、「このシーズンならこれが最安値」とサービス側から最適な費用をアシストできるようになります。当然ながら情報管理での安全な仕組みも必要ですが、各企業の請求書や領収書、見積書などから得られる統計的なデータがあれば、企業の支出の最適化もできる。そんな世界を実現するため、「バクラク3.0」への仕込みも始めています。

 さて、ここまでが「最後発」である我々が経費精算サービスを始めた経緯と、実現していきたいBSM構想でした。経費精算では我々は最後発ですが、請求書受領や電子帳簿保存に関しては最先端であり、またその領域でのデータ活用やAIの活用に追いても業界をリードしていると自負しています。法人支出管理という観点にたち、また1次情報として「経費精算は既存のシステムを入れても課題が多い」と感じているお客様が多くいた中で、私たちが開発したプロダクトを実際に見せることで非常に大きな手応えを感じたことが、経費精算領域に「最後発」といわれても参入した理由になります。

 とはいえ、私たちはまだサービスを開始して2年目の会社です。本当の意味で「社会に浸透した」といわれるまでにはもっと長い期間、それこそ10年以上かかると思っています。今後もユーザーの声を聞きながら、改善を重ねていきたいと思います。

この記事はシリーズ「福島良典の「新時代の現場主義」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。