(写真=的野弘路)
(写真=的野弘路)

 現在、LayerXという会社で代表をしています。もともと、私はGunosy創業者としてニュース配信アプリの開発・運営をしていました。Gunosy時代はコンシューマ―と向き合ってビジネスを展開していましたが、今では主に金融領域と向き合っています。

 なぜ、ニュース配信アプリから金融領域へ踏み込むことになったのか。意外に思われる人が多いかもしれませんが、私自身の中で何かが変わったわけではありません。自身の関心はいつも「ソフトウエアで社会を変えること」にありました。それが、BtoB事業へのチャレンジになっただけの話です。

 私がニュース配信アプリ「グノシー」を誕生させたのは2011年のこと。大学時代に人工知能(AI)やマシンラーニングの研究をしていて「この技術を使ってサービスをつくりたい」と思ったことがきっかけでした。その1年後である2012年、Gunosyを起業しました。

 グノシーはユーザーの興味をAIが学習し、ニュースを推薦するサービスです。ソフトウエアとデータをかけ合わせ、「読みたいニュースが自然と集まる」ようにしたのです。これによって、ユーザーは自らニュースを探すことなくスマートフォンを開けば好みの情報に触れられる新体験を生み出しました。

 そしてGunosyは2015年に上場。2018年にブロックチェーンのコンサルティング事業を行う子会社として立ち上げたのがLayerXです。私がGunosyの役員を退任した2019年にMBO(経営陣が参加する買収)し、現在に至ります。MBOを実施した理由はLayerXの事業をさらに拡大させるためには機動力が必要だったから。GunosyとLayerXがそれぞれ自由に動き続けるために取った選択でした。

 私がLayerXを通して今、取り組んでいるのは1000兆円を超える「お金の移転」に関わるマーケットです。当初は研究開発(R&D)事業として始めていました。

 大企業の中でアナログが残り続ける理由の1つが「文化の違い」です。私のような世代がゼロから会社を立ち上げるとき、当然のようにSmartHR(人事労務サービス)やfreee(会計サービス)といったSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を活用しますが、それ以前の世代はほとんどが手作業。これは、「英語を話すのか、日本語を話すのか」くらいに異なる文化です。私はソフトウエアの力でその差分を埋めたいと考えました。

 現在、LayerXはSaaSとアセットマネジメント、プライバシーテックの3つの事業を手掛けています。「ブロックチェーンの話はどこへいったのか」への回答はR&D時代の気づきとともにお話しします。

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