ケース3:メール誤送信が多発した物販会社

 メールの誤送信がたびたび起こるという物販会社がありました。

 この会社の管理職は、「注意が足りないからミスが起こる。もっと注意深く確認するように」と部下に伝えたのですが、その後も誤送信は減りません。

「注意深く確認するように」という曖昧な指示では行動は変わらない、ということはもうおわかりでしょう。

 この会社に必要だったのは、メール送信の際の行動をルール化することでした。

確認のための行動を具体化

 なぜ誤送信されるのか? 当然のことながら、宛先(送信先)が違うからです。
  そこで、メール送信の際には、次のようなルールを設けることにしました。

①アドレス帳の顧客名をローマ字表記と漢字表記の併用にする(「Ishida」と「nishida」など、アドレスや氏名の綴りは一見間違えやすいため)。
②メールのオートコンプリート機能(宛先欄に名前を入れると予測変換のように宛先候補が出てくる機能)をオフにし、アドレス帳から確実に宛先を選択するという手順を踏む。
③送信メールの一時保存(2段階送信)の機能をオンにする。
④宛先を目視する。
⑤件名を目視する。
⑥本文を目視する。
⑦重要な書類を送信する際は直属の上司のチェックを経てからにする。

 これだけのことですが、この正しい(安全な)行動を常にチェックし、定着、習慣化させたことで、メールの誤送信は一切なくなったといいます。

 仮に、確認作業をより強化するために「ダブルチェック」の体制を敷いたとしても、ダブルチェックする側が「どんな行動をすればいいのか?」を把握していなければ、ダブルでミスを繰り返すだけです。

「ミスを無くすための具体的な安全行動」(この場合、宛名と本文を目視する)の定着を図ることがカギです。

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