「継続の仕方」を知らないからできない

 やり方(知識・技術)を知っていても、できない。それは「(行動の)継続の仕方を知らない」からです。
 たとえ安全行動の取り方がわかっていても、続かないのであれば、意味はありません。安全行動は継続され、やがて「習慣」として定着しなければならないのです。

 ここでいう習慣とは、「しなければならないこと」が「しないと違和感を覚えること」になり、やがて「自然にやっていたこと」になるレベル。
 行動が定着し、誰かからいわれなくても、自発的に安全行動を取るというのが目指すゴールです。

 行動を習慣化させるにはどうすればいいのか?
 カギになるのが、第1回で説明した人間の行動原理です。

[人間の行動原理]
人間は「結果にメリットのある行動」を選択する。

 そう、人間は行動の結果にメリットがあれば、その行動を選び、そして繰り返すのです。
 つまり、人に行動を継続させ習慣化させるには、行動の結果を「メリットのあるもの」に変えればいいわけです。

 このように意図的に、結果にメリットを与えることを、専門的には「行動の強化(リインフォース)」といいます。

60秒以内に「ほめる」ことで動機付け

 第2回で、「ポジティブ」で「すぐに」享受できる「確か」な結果が、人に行動を繰り返させるというお話をしました。

 したがって、上司が部下の行動を称賛する、つまり「ほめる」ことは、きわめて効果的な行動の強化となります。
 しかも、すぐに、その場で、がポイントです。

 行動科学マネジメントには「60秒ルール」というものがあります。
「すぐに」とはどのくらいの時間かというと、60秒以内が効果的という実験結果があるのです。

「ほめる」というと、なんだか気恥ずかしいという人もいるかもしれません。
 しかし、ここでの「ほめること」の目的は、あくまでも動機付けで、行動の結果にメリットを与えるという、マネジメントの手法の1つです。

「叱ることよりも、ほめることのほうが効果的」と割り切ってどんどん部下をほめましょう。

人間の行動原理を理解することで、ミスを減らすことができる(写真:mdbildes/Shutterstock.com)
人間の行動原理を理解することで、ミスを減らすことができる(写真:mdbildes/Shutterstock.com)

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