キーエンスの存在感は海外でも高まる。同社の海外売上高比率は足元で6割近くに達し、ここ10年で約25ポイント上昇した。営業担当者の徹底した教育や受注後の当日出荷など、日本で磨き上げた独自の流儀を武器に海外展開を加速する。

■掲載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)驚異の営業利益率55%、時価総額国内3位 キーエンスの強み
(2)キーエンス シェア獲得の武器は神出鬼没の営業パーソン
(3)キーエンス 1000本ノックで鍛える営業力、囲い込みは「ダサい」
(4)「予定は1分刻み」「接待厳禁」 キーエンスの豆知識
(5)ローソンも飛びつくキーエンスのソフト データ分析が次の鉱脈
(6)三菱商事もうらやむ高年収 驚異の数字が語るキーエンスの実力
(7)キーエンスは現代の「奇兵隊」 習慣化で弱さ克服
(8)キーエンス中田社長が断言、「他社にはまねできない」
(9)「キーエンスに過去は不要」色あせぬ滝崎名誉会長の教え
(10)キーエンスの流儀は海を越える、半導体不足でも「当日出荷」死守(今回)

サンフランシスコにはグローバル企業の拠点が多い(写真:AFP/アフロ)
サンフランシスコにはグローバル企業の拠点が多い(写真:AFP/アフロ)

 「スーパーでお肉を焼いて売るように技術営業が工場に来てデモをしてくれる。だから、つい買ってしまう」

 ある在米日系自動車部品メーカーの経営者は、キーエンスの営業スタイルについて熱を込めてこう話す。「製造過程で生じる、こんな傷を検査したい」と相談すると、営業担当者はそれが可能な検査機を即座に工場へ持ち込んでデモを実施。分かりやすく解決法を提示しながら商品を売り込んでいく。インフレにより賃金高騰が著しい米国では、キーエンスが提供する自動化装置のニーズが高まっている。

 連載3回目(キーエンス 1000本ノックで鍛える営業力、囲い込みは「ダサい」)でみたように、キーエンスは独自の人材育成手法を持つ。その一つが、上司などと2人でチームを組み、顧客との商談を事前にシミュレーションする「ロープレ」だ。受注率を高めるために一挙手一投足を確認する、まさに野球の「1000本ノック」のような育成手法だが、営業担当者らはこれを毎日当たり前にこなす。

 日本の営業担当者は週3~4日ある「外出日」に、1日5~10件のアポイントをこなすのが当たり前だ。国土が広い米国などではここまでスケジュールが過密とは限らないが、1件1件の商談の質を高めるため、ロープレなどの育成手法は「日本と同様に導入されている」(人事部の斎藤雄介マネージャー)。冒頭の経営者の満足そうな声からは、日本で実施されるこうした手法が海外でも浸透していることが分かる。

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この記事はシリーズ「解剖キーエンス 最強企業の“人づくり”」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。