「付加価値」を重視するキーエンスの経営哲学は、以前からほぼ一貫している。創業者で取締役名誉会長の滝崎武光氏は2003年、日経ビジネスの取材に応じていた。会長時代のインタビューで繰り返したのは、顧客から欲しいと言われる前に付加価値を見つけ出すことの大切さだ。滝崎氏は経営執行の第一線からは離れているとされるが、その言葉は今なお色あせていない。
■掲載予定 ※内容は予告なく変更する場合があります
(1)驚異の営業利益率55%、時価総額国内3位 キーエンスの強み
(2)キーエンス シェア獲得の武器は神出鬼没の営業パーソン
(3)キーエンス 1000本ノックで鍛える営業力、囲い込みは「ダサい」
(4)「予定は1分刻み」「接待厳禁」 キーエンスの豆知識
(5)ローソンも飛びつくキーエンスのソフト データ分析が次の鉱脈
(6)三菱商事もうらやむ高年収 驚異の数字が語るキーエンスの実力
(7)キーエンスは現代の「奇兵隊」 習慣化で弱さ克服
(8)中田有キーエンス社長が断言、「他社にはまねできない」
(9)「キーエンスに過去は不要」色あせぬ滝崎名誉会長の教え(今回)
キーエンスの営業の特徴は、1974年の設立時から一貫する直販体制だ。この点について滝崎氏は「付加価値の高い商品を作ることを追求してきましたが、カタログだけでは当社の商品の良さは分かってもらえない。商社に頼んでも開発者の意図を正確に顧客に伝えられないでしょう」と、2003年のインタビューで指摘した。
さらに滝崎氏は「我々の営業マンは本当によく勉強しますよ。商品発売の1カ月前くらいから、技術者が講師になり何度も勉強会を開きます。発売後も『この説明ではうまく理解してもらえない』と顧客の声を持ち帰って、また試行錯誤を繰り返します」とも述べ、他社との泥臭さの違いを強調した。

キーエンス取締役名誉会長。1974年、兵庫県尼崎市でキーエンスの前身であるリード電機を設立、代表取締役社長に。2000年、社長職を佐々木道夫氏に譲り代表権のある会長に就任。15年から現職。(写真:山田哲也、2003年撮影)
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この記事はシリーズ「解剖キーエンス 最強企業の“人づくり”」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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「あまりに普通で、取材しがいがないでしょう」。あるキーエンスOBはこう言っていた。確かにとっぴなことをしているわけではない。だが、普通じゃない部分があった。とにかく手を抜かないのだ。「当たり前のことを当たり前にやる」。社員やOBがそう表現する背景には、行動を変えるための巧妙な仕組みがあった──。日経ビジネス記者が徹底取材でキーエンスの“仕組み”に迫った書籍を刊行しました!
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