「きちんと」した社会は生きにくい
養老:少年院にいる間はスマホが使えないんですよ。出ると一番、それを欲しがる。スマホを見ると、いろんな広告が載っているでしょう。時給のいい求人広告なんかに釣られていなくなる。それが一番多いといっていました。それでまた、オレオレ詐欺の手先に使われたりして。やはりそう簡単じゃないですね。
社会がある一定の形を取ると、そこに適応できない人がどうしても出てきてしまう。それをどうするかというのは、社会を「きちんと」つくっていくほうの人には、関係のないことですから。
システム化を進めていくほうの人には関係のないこと、ですか。
養老:しょうがないからボランティアで何とかするしかないっていう状況です。こうしたセーフティーネットが、社会に欠けています。
仕事が合理化されてしまうと、まともな人でも仕事がなくなるという時代ですから。コンピューターが仕事をしてしまって人が要らなくなるということは、世界中で議論されていますよね。
マニュアルに従って仕事ができる人でさえ、仕事がなくなるといわれる時代です。
養老:ましてマニュアルが読めない、読んでも無視するってことになると、それならコンピューターのほうがましだって話になってしまいます。
あとはやっぱり、大人が満足してないといけないですね。
大人自身が。
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