大事なことは気づく環境を作ること

 このように見ていくと、このちょっとした会話の中にもたくさんのアンコンシャスバイアスの言葉があることに気づく。そして、普段、自分が何気なく話している言葉のなかにも、さまざまな無意識の思い込みがあるということにも気づかされる。私自身も駄言辞典を読んでみて、無意識のまま、たくさんの問題発言を行っていたことを知って冷や汗が出た。

 駄言辞典では、なぜ駄言が生まれるか、という理由に、「歴史的背景」「社会構造」「勉強・想像力・共感の不足」「ミスコミュニケーション」「公私混同」――の5つを挙げている。

 とくに、歴史的背景や社会構造がしみ込んだ、われわれが使っている言葉には、様々なバイアスが含まれている。本ケースで取り上げた部長たちも特段、女性蔑視をしている人たちでもないし、そのつもりもない。ただ、悪気なく普段使っている決まり文句を使っているだけなのである。

 したがって、会社が働きやすい職場を作りたいのであれば、無意識の思い込みについて学習する機会を作らないといけない。そして、その内容は性差の問題だけにとどまらず多様な領域(人種、宗教など)にまたがるはずだ。また、できれば、間違った思い込みをもっている人がいれば互いに指摘しあって気づき合う組織文化を作ってほしい。思い込みを頑固に補整しない人もいるかもしれないが、気づいて変わってくれる人の方が多いはずだ。なぜなら、ほとんどの人は自分が駄言を使っていることを知らないだけなのである。まずはどんな駄言があるか、本書を本屋さんで斜め読みするところから始めてみたい。

[Human Capital Online 2021年9月14日掲載]情報は掲載時点のものです。

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