昔のデータ偽装問題をどう終焉させるか

 品質データの偽装は社会的な大問題になりうるという認識が定着し、各社ともデータ偽装の対策(牽制や複数チェックの体制)を進めているため、これから新しくデータ偽装が行われることは激減すると思われる。しかしながら、困った問題が一つ残っている。本ケースのように、過去のデータ偽装が社内で知られることなく残っている可能性が高く、それをどのように発見し、どのように対外的に公表するかについて適切に対応することが極めて難しいのである。

 一つの商品でデータ偽装が発覚した場合、会社は同様の偽装や問題行為がないかどうか、社内向けに調査を行う(すべてを隠蔽しようとする会社もなくはないが)。そして、発覚したものを全部まとめて、外部に発表し謝罪する。本ケースでは、佐藤コンプライアンス部長が田中製造部長にX以外にもないかと問い、佐藤製造部長が「少なくとも3つ」と答えているが、こういった場合、製造部長も知らない同様の偽装が予想を超えて多く出現するものだ。

 さらに困ったことは、調べ尽くしたつもりで対外的に「これだけです」と発表した後、さらに数回にわたって、同様の偽装が残っていたことが発覚することがあることだ。

 仏の顔も三度までという。最初の問題発覚および謝罪会見が1回目である。追加調査した後に「これだけありました」「今後は、このような対策を実施して2度と起こしません」というのが2度目だ。ここまでは、社会も許容してくれる。その後、「まだ、もう一つありました。申し訳ありません。でもこれが最後です」というのが3度目である。

 社会も顧客も相当うんざりしているが、この段階では「最初の事件の発覚後ではなく、既に起こっていた過去の事件だから」と考えることもできる。これが社会の許容範囲ギリギリ(普通の人は許容しないが)である。しかしながら、さらに発覚して4回目ともなると、「自浄できない会社」「不誠実な会社」「不正の伏魔殿」ということになり、その会社と取引を継続することが相手の会社で問題視されるようになる。そして、会社や事業そのものが追い込まれてしまう。

 したがって、データ偽装のような事件が発覚した際に、最も重要なことは、被害を与えた顧客などの関係者への誠実な対応は当然のこと、これを機会にデータ偽装等の問題を徹底的に洗い出して、多少、量は多くなったとしても一度で問題のすべての公表を行い謝罪して事件を終わらせることなのである。

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