本ケースにおけるコンプライアンス問題とは?
この会社のように、仕様書やカタログに記載した品質を満たさない商品、またそれを告げないまま納品したような場合は、不正競争防止法の虚偽表示(品質等誤認惹起行為)になる可能性がある。その場合、罰則があり、その行為者に対して5年以下の懲役又は500万円以下の罰金、もしくはこの両方が科される。そして法人に対しては3億円以下の罰金刑が科せられる。
また、この商品を購入した会社(顧客)は、その品質が契約内容を満たしていないことから、製造業者に対し、契約の債務不履行(不完全履行)に基づき損害賠償請求することができる。さらに、データが改ざんされた結果、この製造会社と競合となる事業者の売り上げが下がったような場合や売れるはずのものが売れなくなった場合には、データ改ざんによって営業上の利益を侵害されたとして、損害賠償請求することもできる。
もちろん、会社の受ける損害はこれだけではない。品質のデータ偽装は社会的にも大きく報道されることから、会社のブランドイメージは大きく損なわれる。顧客との信頼関係は崩壊し、「データ偽装をした会社」としてレッテルが貼られ、新規の営業活動もままならない状態になる。
品質データの偽装は他のコンプライアンス問題と比べても、かなり深刻な状況を引き起こすのである。
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