「男性育休も女性活躍も人が足りないから無理」。そんな常識を覆している中小企業2社のトップに話を聞きました。今回紹介するのは、新潟県長岡市に本社があるサカタ製作所。代表取締役社長の坂田匠さんに、男性育休取得促進について、そして、現在進行形で取り組んでいる女性活躍の推進について聞いてきました。
■サカタ製作所
業種…金属製品製造業
社員数…156人※2021年12月時点
男性育休取得率…100%
女性役員の数…0人

日経xwoman(以下――) サカタ製作所は2018年に男性育休取得率100%を達成し、現在まで取得率100%が続いているそうですね。

サカタ製作所坂田匠社長(以下、坂田) 取得期間も伸びています。18年は平均取得日数が18.2日でしたが、21年には46.7日になりました。

女性活躍&男性育休 ポイント1
取るだけでなく、日数も増えている

21年の育休平均取得日数は46.7日。18年から倍以上に増えている。

―― 17年から本格的に男性育休の取り組みを始めたと聞きました。きっかけを教えてください。

坂田 「妻が出産するので育休を取りたいが、男性が育休を取る雰囲気が現場になく、言い出しづらい」……。総務部にそんな相談があったと、部下との雑談の中で聞いたんです。お恥ずかしい話なのですが、私がその話を聞くまで、「男性が育休を取得できる」という認識がなかった。その場で総務部スタッフに育休制度についてレクチャーしてもらい、すぐに相談してきた社員のもとへ行きました。

 そして、「君、育休を取りたいんだってな。取ればいいじゃないか」と話しかけたんです。いきなり社長に声をかけられて、かなり動揺していましたね。近くにいた彼の上司にも「育休を取れないほど忙しいのか?」と聞いて、取得が可能であることを確認しました。

サカタ製作所では男性育休の取得率は100%。取得日数も伸びている(写真は坂田社長)
サカタ製作所では男性育休の取得率は100%。取得日数も伸びている(写真は坂田社長)
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―― 社員の方はかなり驚かれたのでは……。

坂田 現場で言い出しにくいから総務に相談したのに、社長にいきなり現場で話しかけられてしまった。彼も面食らったと思います。同じようなやりとりを製品開発の部署でもしまして、この2回ですっかり社内に「男性も育休を取っていいんだ」という雰囲気ができました。こうなれば自動的に、みんな取得する方向に進みますよね。

 社内制度としては、育休を取得した社員を表彰する「イクメン表彰」と、メンバーの育休取得をバックアップした上司を表彰する「イクボス表彰」を設けました。ただ、今はもう「男性育休取得は当たり前」が浸透しているので、どちらも実施していません。

女性活躍&男性育休 ポイント2
トップダウン

「君、育休取りたいんだってな。取ればいいじゃないか」と現場で育休取得対象の社員に話しかけた。その場で上司にも確認。

―― 実際に育休を取得する男性社員が増えたことで、現場に混乱など起きたのでしょうか。

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