「女性活躍は大企業だけの話」と思っているかもしれません。しかし2022年4月から、従業員数101人以上の中小企業にも、女性活躍に関する現状把握や、行動計画の策定、さらに情報公開までが求められるようになりました。中小企業はどう向き合えばいいでしょうか。前回の記事「『男性は育休よりも働いて』中小企業の悩み、解決策は」に続き、今回も中小企業2社の担当者に、女性活躍についての課題や本音をインタビュー。専門家に解決策を聞きました。

「女性活躍、やる必要あるの?」

 関東地方で不動産事業を手掛ける社員約300人のA工業。女性活躍推進法の改正により、2022年4月から、女性活躍の行動計画策定・公表の義務化対象となった。「21年の秋ごろに労働局から書類が送られてきて、電話も何度かもらいました」と、A工業の人事担当者は振り返る。

 女性活躍推進法の対象企業は、「採用者に占める女性比率」「管理職(課長以上、役員を除く)の女性比率」など複数の項目について現状を把握し、目標も含めた行動計画を策定する。また、それらを社内周知するだけでなく、労働局への届け出や、厚生労働省のサイトや自社ホームページなどで外部公表もしなくてはならない。

 「形式的な対応は済ませました。行動計画の目標は、採用時の女性の割合を○%に増やす、男性育休の取得率を△%アップさせる、など、無理のない範囲にとどめ、管理職比率に関する目標は立てませんでした。達成不可能な目標を立ててもしらけてしまうだけですから」

 A工業は女性の管理職比率が2%と低く、経営陣は男性ばかり。技術職の女性もいるが、業界慣習として土日休みが難しいこともあり、ほとんどが30代で離職するという。社内には危機感がなく、人事担当者は「女性活躍は、当社では求められていない」と困惑する。

 「男性だけでうまく回ってきた、という成功体験があるため、『女性を登用しないと新たな人が入って来ません』『競合他社に勝てません』というロジックが通用しない。『女性活躍って、急いでやる必要あるの?』と言われてしまいます」

 中部地方の社員80人のB建設は、4月からの義務化対象にはなっていないが、「求人票に、育休取得率や女性の管理職比率を記載するという流れも出てきている。必要性は感じている」と話す。ただし実際には、「女性は事務などのアシスタント職での採用がほとんどで、昇進させるポジション自体がない」(B建設)というのが現実だ。

 本記事では、A工業、B建設の事例を追いながら、中小企業が抱えがちな課題について、専門家にアドバイスを聞いた。

話を聞いた会社

■A工業(関東地方)
社員数…約300人
社員の男女比…6:4
管理職の女性比率…2%(役員は男性のみ)
社員の平均年齢…30代

■B建設(中部地方)
社員数…約80人
社員の男女比…7:1
管理職の女性比率は…0%
社員の平均年齢…40代

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