2022年4月の東京証券取引所再編に向けて、新市場区分であるプライム、スタンダード、グロースへの上場企業の一覧が出そろった。東証再編に先駆ける形で昨年、金融庁・東証は「コーポレートガバナンス・コード」を改訂し、企業に一層のガバナンス強化を求めた。改訂の目玉の一つが、企業の取締役や管理職などに女性や外国人などの「多様性確保」を求めたことだ。ジェンダー平等やダイバーシティは、企業のガバンスや成長にどう影響するのか。日経xwoman編集委員の羽生祥子が2人の識者に聞いた。
※2021年5月に開催されたイベント「日経SDGsフェス ジェンダーギャップ会議」のレポート記事(初出:日経xwoman)を一部再編集して再録。肩書や数字は初掲載当時のものです。

上編・女性の“社内”取締役の育成急げ 多様性の情報開示迫る金融庁
下編・経営資源は「ヒト・モノ・カネ」から「ヒト・ヒト・ヒト」へ ←今回はココ

左から、日経BP編集委員・羽生祥子、金融庁総合政策局CSO(チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー)・池田賢志さん、日本CFA協会理事、新生企業投資マネージングディレクター・黄春梅さん
左から、日経BP編集委員・羽生祥子、金融庁総合政策局CSO(チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー)・池田賢志さん、日本CFA協会理事、新生企業投資マネージングディレクター・黄春梅さん
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池田賢志(いけだ・さとし)さん
金融庁総合政策局チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー。2019年3月、金融庁に「チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー」のポストが新設されたことに伴い同職に就任。同職においては、気候変動関連の財務情報開示に係るTCFD提言の日本における実施を担当すると同時に、金融庁内のSDGs取組戦略プロジェクトチームの事務局を務めるなど、サステナブルファイナンスに関する職務を幅広く所掌。
黄春梅(ホァン・チュンメイ)さん
日本CFA協会理事、新生企業投資マネージングディレクター、新生インパクト投資代表取締役。2005年より新生銀行にて一貫して自己勘定投資業務に従事。ベンチャー投資、バイアウト投資、ファンド投資などを担当、ファンドの投資委員、上場企業を含む複数の投資先およびファンド運用会社の取締役や監査役を歴任。2017年より新生銀行グループにて、邦銀系初のインパクト投資ファンド「子育て支援ファンド」および2号ファンド「はたらくFUND」を創設。上海財経大学経済学部卒、神戸大学経営研究科修士号。米国公認会計士、CFA協会認定証券アナリスト、日本評価学会認定評価士。日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」受賞。

「人的投資」が企業のサステナブルな成長を支える

日経xwoman編集委員 羽生祥子(以下、――) 先ほどから中長期的な企業価値向上という言葉がよく出ますが、目先の財務指標にとどまらず、長い目で見た持続可能性への取り組みが重要ということですね。

金融庁チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー 池田賢志さん(以下、池田) そうです。改訂のもう一つの目玉がサステナビリティを巡る課題への取り組みです。近年は人的資本への投資が、経営資源の配分や事業ポートフォリオ戦略と関連していて、それが企業の持続的な成長、あるいは中長期的な価値の向上につながっていくと考えられています。まさにダイバーシティの問題はサステナビリティの問題であり、人的資本への投資の問題でもある。そんな構造になっています。

引用/金融庁作成。(記事中の図版はすべて、発言者による作成の資料から一部を抜粋しています)
引用/金融庁作成。(記事中の図版はすべて、発言者による作成の資料から一部を抜粋しています)
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ジェンダー平等が企業の成長に貢献する数々のデータ

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