
部下たちの言うことは、あながち間違いではなかった。
未来企画推進課は担当役員直轄の組織だが、実情はどの部門にも属しておらず、ミッションも曖昧だった。
メンバーは皆、かつてはそれぞれの現場で活躍していたものの、役職定年とともに未来企画推進課への異動を命じられた人たちだ。そのため、「閑職に追いやられた」と感じている節があった。
どう言葉を返していいのか分からず、自席で頭を抱える馬田課長。
そこへ、どこからともなくインスパイアマンが登場。
インスパイアマン:やれやれ、組織の目的も分からず、目標もなければ、やる気を失うのは当然のことだろう。
馬田:あ! あなたがウワサのインスパイアマンですね? メンバーにやる気を持ってもらうにはどうしたらいいんでしょうか?
インスパイアマン:馬田課長はどうしたらいいと思う?
馬田:それが分からないから助けてほしいのに(泣)。でも確かにインスパイアマンの言うように、目的や目標は必要かも。私自身、何から手をつけたらいいのか、途方に暮れているところだし。
インスパイアマン:そうだね。目標を設定すれば、向かう先が決まる。目的地が決まれば、その方向に進めるようになるし、計画を立てて必要な準備をすることもできる。
馬田:ふむふむ。
インスパイアマン:やるべきことだって明らかになるし、時間やエネルギー、知識やスキルなど自分の持つリソースを、何にどれだけ費やすかを決めることもできる。
馬田:ですよね。
インスパイアマン:誰だって具体的な目標があったほうがやりがいを持てるし、目標を実現できたときの達成感も得られるんじゃないかな。
馬田:なるほど。じゃあ早速、課と個々の目標を立ててもらいましょう!
メンバーたちに声をかけようとする馬田課長を制止するインスパイアマン。
「良い目標」をつくるためのフレームワークとは?
インスパイアマン:まあまあ、そう慌てないでくれ。目標を立てるにはまず、「良い目標」を理解しておく必要がある。
馬田:「良い目標」ですか?
インスパイアマン:そうだ。良い目標とはすなわち、メンバーで共有・共感して、プロジェクトを成功させる可能性を高めるものでなければならない。端的に言えば「明確である」ことが重要なんだ。目標を明確に表現するには、「SMART」というモデルを活用するといい。
馬田:なんですか? その「SMART」モデルって。
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