うまくいったら喜びを爆発させて次につなげる――。ジャパネットたかたの創業期はそんな連続だった。髙田氏は「苦楽を共に分かち合う社員も取引先も家族のような存在だった」と振り返る。

ジャパネットたかた創業者の髙田明氏(写真:菅 敏一)
ジャパネットたかた創業者の髙田明氏(写真:菅 敏一)

 3月27日にジャパネットではBS放送「BSJapanext(ビーエスジャパネクスト)」をスタートします。私が社長のときはCS放送の許可をいただき24時間の自社チャンネルを持ちました。これがジャパネットにとって大きな転機となりました。しかし、時代とともにインターネットとの連携なども含めてテレビの世界は大きく動いており、ジャパネットもこれに合わせて、今の経営陣でCS放送からBS放送へ移行するという判断をしたのだろうと思います。

 BSJapanext開局を聞いたとき、何よりもチャレンジしていくのはとてもいいことだと思いました。どんなことも時代の変化にどれだけ対応していけるか、だと私は考えています。ダーウィンの進化論と同じように、強いものが生き残るのでなく、やはり変化に対応し、さらに変化を自ら生み出していくものが残っていく時代だと思います。企業の場合、変化への対応にはコストもかかるし人材や設備投資も必要になります。その辺りもしっかり考えて今回の開局にチャレンジしていると思います。

 BSは有料チャンネルも含め多チャンネル化しており、その中でジャパネットの番組を選んでいただくには制作力が大切になってきます。どんな番組構成になるかは分かりませんが、1つに長く地上波で放送していた番組「パネルクイズ アタック25」がここで復活する、と聞いています。私はこの番組のファンでいつも妻と見ていて、番組が終わったときには非常に残念な気持ちでした。それが復活するのはいいことだと思うし、皆様にも喜んでいただけるのではないかと思っています。私も一視聴者としてBSJapanextの開局が非常に楽しみです。

 世の中を見渡せば、世界中の人が新型コロナウイルスで苦しみ、さらにロシアによるウクライナ侵攻問題までもが起きています。一体、人間はどの方向に向かっているのでしょうか。宇宙旅行ができるようになってきたりAI(人工知能)が進んだりする一方、長い歴史の中、感染症や人間同士の争いは繰り返されています。時を同じくして生まれてきた人間同士、武器ではなく対話によって一緒に地球を守る、命を守るという一体感をなぜ持てないのか、といつも思っています。「自分が」ではなく、「みんなが」幸せになっていく世界を心から願っています。

ロゴをつくり、テーマ曲をつくる

 さて、ここからはこれまでの歩みを振り返りたいと思います。ラジオの通信販売を始めて全国展開が進んできた頃、私はジャパネットたかたのテーマ曲やロゴマークもつくりたいと思うようになっていました。ロゴは日本をネットするという社名にもちなみ、日本地図を使ったロゴマークをつくりました。ロゴづくりでは九州部分の「赤」色一つにしても、どのような色合いにするか細かい部分までこだわりました。

日本をネットするという社名にちなみ、日本地図を使ったロゴマークをつくった(自社スタジオを開設した当時)
日本をネットするという社名にちなみ、日本地図を使ったロゴマークをつくった(自社スタジオを開設した当時)

 テーマ曲については、実は佐世保のカメラ店で営業していたときにも長崎県内向けに短期間ですが、オリジナルの曲をつくって流したことがありました。「たったかたー、たったかたー、カメラのたかた」というリズム感のある曲で、佐世保だけでなく長崎市の人、離島の五島列島の人など、長崎県中の人に離れた町の「カメラのたかた」を知ってもらいたいと思い、店の宣伝用としてラジオで流していました。

 本格的に通信販売業を全国に展開するときも、とにかく社名を覚えていただきたいと思い、「テーマ曲をつくろう」と考えたのです。当時、放送でお世話になっている全国のラジオ局の担当者の方に集まってもらい「今のジャパネットのラジオ番組はどうですか」と話し合う場を定期的に持っていました。そこで「番組のテーマ曲をつくりたいと思っている」と話すと、「いい人がいますよ」と、福井県に住む恒見コウヘイさんを紹介してもらいました。 

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