孫正義氏と二人三脚で巨大ファンドを立ち上げた投資戦略のキーマン、ラジーブ・ミスラ氏がロンドンでの単独取材に応じた。表舞台にはほとんど姿を見せないミスラ氏は、ソフトバンクグループとファンドの未来をどう描いているのか。

ソフトバンク・ビジョン・ファンド設立から5年がたとうとしています。どのように規模を拡大していますか。
ラジーブ・ミスラ ソフトバンク・ビジョン・ファンド運営会社CEO(以下、ミスラ氏):設立当時の従業員は10人で、(英ロンドン以外の)オフィスは東京と米サンフランシスコの2カ所でした。今では11~12カ所にオフィスを構え、従業員は400人を超えています。主に2種類の職種があり、一つは投資を専門とする職種で、全体の約半数を占めます。残りはコンプライアンスや経理、法務など経営管理や事務に従事しています。
世界中の企業に遠隔で投資をすることはできません。現地に密着しなければならないので、各地に拠点を置き、現地の人々を採用しています。
どのようなプロセスで投資を決めていますか。
ミスラ氏:多くの面で投資プロセスを体系化してきました。最初に体系化したものは、投資したい企業を検討するプロセスです。セクターや企業や創業者に関する多くのデータを照らし合わせ、リストに目を通し、アルゴリズムによって投資すべき企業を割り出します。現在はアジアと欧州、米国ごとに候補企業を検証し、これらの現地の議論で承認が下りた後に、グローバル投資委員会に候補企業のプレゼンテーションをします。
私たちは企業とその創業者に対する理解を深めるため、デュー・デリジェンスに数週間をかけます。迅速に動きますが、ほかのいくつかのファンドより投資決定までが速くないかもしれません。
投資先の拡大とともに、変更した投資プロセスはありますか。
ミスラ氏:すべてのプロセスです。特に(投資担当者や出資先候補による)プレゼンを重視するようになっています。以前、孫さんにプレゼンするのは週2回でしたが、あまりに多くの企業があるので現在は週4回になっています。
競合他社と比べた時の対象企業の業績、競合他社の情報、リスクについて説明するために、プレゼンの方法と内容を変えました。そして、投資をすると決めた時に、孫さんと私がすべての投資先企業の創業者に会います。時には何度も会うのです。
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