年収交渉の方法

 年収の交渉は当然してよいものです。年収交渉とは、「自分の時間とスキル(労働力)」を、企業にいくらの年収で提供するかという重要な交渉シーンです。
 ただ、最初からするものではありません。なかなか切り出し方も難しいと思います。

 私は、転職活動のときは、毎回10~15社くらいを受けます。転職歴が多いので、書類で落とされることも日常茶飯事です。しかし、面接に進むことができれば、基本的に落ちることはなく、自分の希望年収も叶えています。

 いちばん交渉しやすいタイミングは、「最も大切な転職の理由は何ですか?」と聞かれたときです。このときに、「年収です」と言い切るようにしています。
 「そんなこと言ったら、心証が悪くなるのでは?」と、不安になる人もいると思いますが、そのとき、年収は必要条件であり、十分条件ではないことも同時に伝えると、誤解のないコミュニケーションになります。

(写真:fizkes/shutterstock.com)
(写真:fizkes/shutterstock.com)

 なにより、自分が大切にしていることを企業に伝えるのは、自分の「交渉ポイント」を教えることになるのです。
 企業側が「この人はどうしたらうちに入社してくれるだろう?」ととる気になってくれたときに、年収を重視していることを事前に伝えておけば、交渉の成立条件が「年収」になります。自分が大切にしている転職条件を「年収だ」と明確に伝えることで、交渉できる余地を作っておくのです。

 もちろん、あくまで必要条件なので、自分が大切にしているほかのポイントも合わせて伝えるといいです。私の場合は、残業の有無、休暇日数などの福利厚生のほかに、自分に与えられる裁量権、自分に期待されている成果、組織構成などを確認しています。高い年収をもらうための交渉をしても、結果を出せる環境でなければ、期待に応えることができないからです。
 転職で年収を上げたいなら、「最後の決め手は年収です」と宣言して問題ありません。「私は今、年収を800万円もらっていますが、1000万円じゃないと行かないです」とはっきり伝えるほうが、ふわふわしている人よりも心証はいいと思います。
 また、転職先の給与体系を知っておくことも大切です。これは転職エージェントに聞いておきましょう。給与体系を知っておくことで、自分のオファー年収がどの位置なのかを把握できます。

 会社によっては年齢ごとに上限が決められている場合もありますが、その場合でも給与体系の上限まで交渉の余地はあります。そして、面接ではその範囲の希望年収を提示してください。こういう会社だと、給与体系を超えた年収を提示してしまうと、向こうが採用を諦めてしまう可能性があります。
 給与体系を知れば、将来の年収もざっくり見えてきます。「30歳で年収1000万円を稼ぎたい」と考えて入社しても、「社長の年収が900万円」であれば、また転職するしかありません。自分が将来欲しい金額をもらっている社員がいるか、という点についても確認しておくといいです。

 とはいえ、これらは「企業が自分を欲しい状態」だからできることです。
 面接の最初のほうは、自分はどんなことをしてきたのか、とか、この採用で求めていることは何か、今後はどのように事業を進めていこうとしているのかなど、お互いに何を望んでいるかを話しましょう。

 企業が自分を必要としている状態になれば、ある程度こちらの要望は飲んでもらえるはずなので、手応えを感じたら少し強気の年収を伝えてもいいと思います。

 私は「入社時期の相談」や「入社前にメンバーに会わせてほしい」など、こちらの要望に応えてくれている状態だと、「自分を欲しいと思っているフラグ」だと思っています。ですので、こうしたケースでは強気の年収を提示しています。
 また、『WORK 価値ある人材こそ生き残る』の中でも紹介した「軸ずらし転職」で、志望度の低い他業界で高めの年収オファーをもらっておいて、それを比較対象として出して年収交渉をするのもいいでしょう。
 あくまで年収が最後の決め手であることを伝えると、このやりとりで気まずい雰囲気になったことはありません。

(写真:chaponta/shutterstock.com)
(写真:chaponta/shutterstock.com)

(構成:梶塚美帆)

仕事に探される人になろう!

本当に「安定」した働き方とはなんでしょうか?
それは、「仕事に探される人」になることです。どの会社にいようとも、あるいはフリーでも、市場価値の高い、本当に仕事ができる人間になることが、結局いちばん安心です。

では、そうなるにはどうしたらいいのでしょうか。
それは、「自分だけの経験」を重ねることです。目の前の仕事に一生懸命になりましょう。それを一つひとつ重ねることで、確固とした自分だけの価値ができていくはずです。

★給料はもらうものではなく、稼ぐもの
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この記事はシリーズ「市場価値を上げて「仕事に探される人」になる」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。