世界的にエネルギーや原材料、半導体など重要物資が奪い合いとなり、人手不足による物流混乱や企業の生産遅延も重なり、企業のサプライチェーン(供給網)は混乱している。調達戦略は経営上の最重要リスクとなり、企業は原材料や部品を購入するサプライヤーとの新たな関係構築を迫られている。
世界的に重要物資が奪い合いとなり、欲しくてもモノが手に入らない時代になった。
自然災害が多い日本では、台風や豪雨、地震に遭うと、企業城下町や産業集積を束ねる大企業が取引先企業の工場復旧を支援し、経営面でも資金繰りの面倒を見る。こうした光景は自然災害のたびに繰り返されてきた。
2011年の東日本大震災ではトヨタ自動車などが半導体メーカーの工場復旧に動いた。18年の西日本豪雨では三菱自動車が数百社の中小企業に対して買掛金を前倒しで支払って資金繰りを支えた。
治に居て乱を忘れず――。苦い教訓から学んだ企業は、サプライチェーン(供給網)寸断リスクの最小化に努めた。有事の際に被害を減らす対策をして、さらに複数購買や代替網を整備し、事業継続計画(BCP)を念入りに準備した。

消えない供給不安、顧客とサプライヤーの力関係が逆転
だが有事への備えだけではもはや変化に対応できない。サプライチェーンの混乱は平時でも常態化している。この現実から企業は目を背けてはならない。
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この記事はシリーズ「岡田達也のサプライチェーン再考」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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