男性脳と女性脳はあるのか?

 人間の脳の重さは平均で1300グラムほどだが、身長、体重、性別によって個人差がある。平均で男性の脳は1274立方センチメートル、女性の脳は1131立方センチメートルだ。男性の脳は女性の脳より1割程度大きい。それは、男性の体が女性より大きいからだ。この場合、大きいほうが賢いわけではなく、男女の知的能力に差はない。

 だが、男女の脳には微妙な差がある。男性は、脳の前方と後方の接続が密になっており、それは周囲の状況を知覚する能力が高いことを示唆する。一方、女性の脳は、左脳と右脳の接続が密になっている。そのため女性は、情報を容易に収集し、より包括的な結論を導くことができると考えられている。もっとも、研究者の中には、こうした違いは生来のものではなく、育てられ方や社会環境がもたらした生物学的副産物だと考える人もいる。

 記憶容量について言えば、脳は、スマートフォンやコンピューターをしのぐ。人間の脳は、デジタルメモリーにして250万ギガバイト相当の記憶容量を持つと考えられている。対してスマホの記憶容量は、最新の機種でも512ギガバイトだ。仮に脳にテレビ番組を録画する機能があるとしたら、300万時間分のテレビ番組を録画できる。300年以上テレビをつけっ放しにしていても録画できるほどだと、サイエンティフィック・アメリカン誌は形容している。

 科学者の中には、脳をコンピューターにたとえる人がいるが、脳の内部構造はパソコンの内部とは似ても似つかない。人間の脳は、重量の75%が水、容積の60%が脂肪だ。そのため脳は十分な水分を必要とし、その水分が血液の循環をスムーズにしている。



日ごろの手入れで、脳は見違えるように変わる! 

 体のほかの部位や器官と同じく、脳もこまめに手入れをすれば見違えるように状態が改善され、発揮されるパフォーマンスが上がります。現在のコロナ禍で生じているストレスや不安は脳の健康を蝕(むしば)む大敵であり、今こそ脳のケアが求められています。 

 本書の著者で脳科学者のクリステン・ウィルミア氏は、アメリカンフットボール選手の脳損傷の実態解明とその治療に関する研究で大きな注目を集めた気鋭の脳科学者です。彼女は豊富な治療経験から、「脳の構造は非常に複雑だが、脳を変えるのは簡単。ライフスタイルを少し見直せばいいだけ」と語ります。そのノウハウを凝縮した本書では、科学的に裏付けられた脳にいい食事、運動、サプリメントは何か、脳に有害なストレスの撃退法などを、分かりやすく、具体的に解説します。 

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この記事はシリーズ「コロナ禍の今こそ、大切な脳のケア」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。