10分で脳を活性化させる10の方法

 私はよく患者に、「脳を放っておいてはいけない」と言う。あなたが何歳であろうと、脳を改善することは可能だ。今すぐ始められる方法を紹介しよう。

1 早歩きする
 ほんの短い時間でも運動すると、脳の血流が増え、創造性が高まり、新しいアイデアが生まれやすくなり、全体的な実行機能が向上する。仕事中に頭が働かなくなったときや、大きな会議の準備をしなければならないときには、脳とキャリアのために、オフィス周辺を早足で歩こう。

2 ダークチョコレートを食べる
 ダークチョコレートはミネラルが豊富で、フラボノイドと呼ばれる健康に良い植物成分が多く含まれている。フラボノイドはフリーラジカルを消し、脳への血流と酸素供給を促進する。ある研究では、記憶力と反応速度を測定する2時間前にダークチョコレートを食べると、その両方が向上した。注意してほしいのは、この効果はダークチョコレートに限られることだ。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートにフラボノイドはあまり含まれない。

ダークチョコレートは、脳への血流と酸素供給を高める効果が期待できる(写真:New Africa/Shutterstock.com)
ダークチョコレートは、脳への血流と酸素供給を高める効果が期待できる(写真:New Africa/Shutterstock.com)

3 背筋を伸ばして座る
 胸を張り、首と背筋を伸ばして座ると、脳への血流が一気に増える。また、正しい姿勢で座ると、他者からの評価が上がり、自信が増す。

4 利き手でないほうの手で書く
 このちょっとしたエクササイズは、脳をなじみのある安全地帯から外へ引っ張り出すことでニューロン新生を促し、既存のニューロンの接続を強化する。携帯電話での文字入力やパソコンでのタイピングばかりしている人は、文字を手で書くだけでも、脳にとって新鮮な刺激になる。

5 ブルーベリーを食べる
 新たなニューロンを育てたいのであれば、ブルーベリーをたくさん食べよう。ブルーベリーにはフラボノイドやポリフェノールなど、体に良い成分が多く含まれる。これらの成分はニューロン新生を促進する。

6 語彙を増やす
 語彙を増やすと、認知機能や知性が高まり、海馬では新たなニューロンが続々と生まれる。これを毎日続けるには、例えば、日々新たな言葉を紹介する日めくりカレンダーを買うか、そのような機能を携帯電話の辞書アプリにダウンロードするといいだろう。

7 毎朝、今日をより良く生きる方法を思い描く
 このエクササイズを実践すると、心が落ち着き、ストレスが減るだけでなく、気分が明るくなり、仕事、運動、生活全般において、能力を最大限発揮できる。プロのスポーツ選手や企業の経営者も、この戦術を重要なイベントの前に使ったり、毎朝の習慣にしたりしている。

8 10分間の空白時間を持つ
 テレビも電話もない部屋にこもる。電話の着信音、ブザー、チャイム、ニュース、テレビ番組など、気が散るもの、拘束されるもの、ストレス源になるものが何もない部屋で、10 分間、目を閉じたり開いたりして過ごそう。このエクササイズは交感神経系を鎮めるので、朝行えば、終日、精神と感情をコントロールしやすくなる。

9 香りでストレスを解消しよう
 家やオフィスでエッセンシャルオイルを使うと、ストレスを和らげ、交感神経系を落ち着かせ、脳波を変化させ、ひいては認知機能と気分を向上させることができる。例えば、ラベンダーはストレスを軽減し、ベルガモットは活力を高め、フランキンセンスは脳への酸素供給を促進することがわかっている。

10 感謝していることを一つ書く
 感謝していることを一つ、付箋に書き、バスルームの鏡や冷蔵庫の扉、オフィスのパソコンなど、1日に何度も目にする場所に貼っておこう。この小さなリマインダーは、それを見るたびにあなたを落ち着かせ、ストレスを和らげ、気分を上げてくれる。


日ごろの手入れで、脳は見違えるように変わる! 

 体のほかの部位や器官と同じく、脳もこまめに手入れをすれば見違えるように状態が改善され、発揮されるパフォーマンスが上がります。現在のコロナ禍で生じているストレスや不安は脳の健康を蝕(むしば)む大敵であり、今こそ脳のケアが求められています。 

 本書の著者で脳科学者のクリステン・ウィルミア氏は、アメリカンフットボール選手の脳損傷の実態解明とその治療に関する研究で大きな注目を集めた気鋭の脳科学者です。彼女は豊富な治療経験から、「脳の構造は非常に複雑だが、脳を変えるのは簡単。ライフスタイルを少し見直せばいいだけ」と語ります。そのノウハウを凝縮した本書では、科学的に裏付けられた脳にいい食事、運動、サプリメントは何か、脳に有害なストレスの撃退法などを、分かりやすく、具体的に解説します。 

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この記事はシリーズ「コロナ禍の今こそ、大切な脳のケア」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。