「命令」より「お願い」のほうが受け入れやすい
あなた自身は実際、職場で部下に、どのように指示を出しているのですか。
そうですね……。基本的には、「○○をお願いします」ですね。あとは、「この仕事はあなたの得意分野ですよね。だから、やってもらえると助かるのですが」 といったいい方もよくします。
まず、「お願い」と「命令」は違います。
「命令」というのは、「相手がノーと答えられないいい方」です。そういう意味で「○○しなさい」はもちろん、「○○してください」も命令です。相手にしてみれば「嫌だ」とはいいにくいですからね。
「お願い」というのは逆に、「相手にノーと答える余地を残すいい方」で、具体的には2つのいい方があります。
一つは疑問文。「○○してくれませんか?」ですね。もう一つは仮定文。「○○してくれるとうれしいのですが」とか、「○○してくれると助かるのですが」といったいい方です。こちらは、「相手にノーと答える余地があるいい方」で、結果としては、割合、相手にいうことを聞いてもらえます。
断る余地があるほうが、受け入れやすい
なぜですか。断る余地があるのに、なぜいうことを聞いてもらえるのですか。
職場の上司の頼みですから、部下が断るということはあまりありません。命令文を使うと、部下は断りはしないものの、感情的に反発を覚えるという可能性があります。相手が上司でも断りたいときもありますから。
確かにそうですね。疑問文や仮定文で頼まれたほうが、すんなりと受け入れやすい。それは、自分のことを対等に扱ってくれている感覚があるからなのでしょうね。
お願いするときは疑問文か仮定文を使うと決めてしまえば、わりと楽ですし、ものごとがスムーズに進みやすいと思います。
ところが、このようなもののいい方に、抵抗を示す人は多いです。上司として、こういういい方を「するべきなのか?」「していいのか?」あるいは「したくない」 といった疑問や抵抗を示される人に、わたしは多く出会ってきました。
わたしは特に抵抗を感じませんが。
若い人はほとんど抵抗を感じないのですが、年配の人には難しいようです。
じゃあ、わたしは少なくとも「気持ちは若い」と。ちょっとうれしい気がします。
女性は、あまり抵抗を感じません。本来は、男性、女性で区別してはいけないのでしょうが、心理学者のアルフレッド・アドラーの言葉を借りれば、「男性の悪徳を模倣してはいけない」ということです。部下に「お願いする」ことに抵抗を示すような、心老いた威圧的な男性上司の模倣など、絶対にしてはいけない。
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