「どういういい方を、してほしいですか?」

 はい。一番よくないのは、お互いに黙って、相手の気持ちを探り合っているという状態だと思いますから。

 相手が「叱られた」と感じているのなら、それは事実として認めるしかありません。「これからは気をつける」と、リーダーが折れるしかないでしょう。

 そのうえで、「どんないい方をしたらいいか」を、相手に尋ねてみてください。

なかなか難しいですね。そもそもチームのメンバーは、そんな質問に、答えてくれるものでしょうか。それにわたしはもともと上司から「部下に気を遣いすぎじゃないか」「もっとはっきりいったほうがいい」といわれるようなキャラクターです。

 尋ねたら、答えてくれます。わたしはよく、自分の子どもに尋ねたものです。

 「今のいい方はどうだったか?」と子どもに尋ねると、「なんか、イマイチだったな」などと答えました。「では、どんないい方をしたらいいか」と尋ねれば、「こういういい方をしてくれるといい」と教えてくれるので、そのようないい方に変えると、あまり抵抗なく、こちらのいうことに耳を傾けてくれます。

なるほど、試してみないとわからないものですね。

 とはいえ、これも子ども次第で、一人ひとり違います。だから手間がかかりますが、大事なことは「感情の尾ひれをつけない」ということです。

「感情の尾ひれ」ですか。

 大事なことは「自分の言葉が相手に伝わる」ことなのであって、そこだけに集中すればいいのです。

「正しく伝える」ことに集中する

「こちらの仕事のほうが優先順位は高い。だから、先にやってもらえるとありがたいのだ」と。

 そこに「感情の尾ひれ」をつけるというのは、無意識であっても、「この言葉を強いトーンでいえば、相手は恐れを感じて自分のいうことを聞くのではないか」などと思うことです。そういうようなことを一切考えないで、伝えるべきことを正しく伝えることに集中する、というのが、優れたリーダーの条件でしょう。

怒鳴ればいうことを聞くだろうという態度は、わたしが部下として忌み嫌った上司の態度ですから、そうなってはいけませんね。でも、いざ自分が上司になってみると、思っていたより難しいのですよ。

 さて、ほめる、叱るについて、いろいろとお話をうかがったところで、質問があります。

 どうぞ、何なりと。

職場におけるコミュニケーションには、なんといっても「指示命令」があると思います。この点について、どうお考えですか。先生は「命令してはいけない」と、おっしゃいますが。

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