なぜ、部下の代わりに資料をつくってはいけないのか?

 ここでいう信頼は無条件です。信じられる根拠があるときにだけ信じるのではなく、条件をつけないで信じる。あるいは、あえて信じる根拠がないときに信じるということです。

 何を信頼するかといえば、2つあります。

 1つは、課題を自分で解決する力があるということです。

 部下がつくるべき資料を、あなたが代わりにつくってはいけないといいました(前回参照)。

 もしもあなたが、若いメンバーがつくるべき資料を代わりにつくってしまったとしたら、若いメンバーを信頼していないということです。その若者には、ミーティングの資料をつくるという自分の課題を、自分で解決する力があると信じていないということです。 実際のところ、その若者に任せてみれば、失敗するのかもしれません。しかし、できないと思われていることを知った若者は、仕事に取り組む勇気を挫かれます。

ああ、実際、わたしが代わりにやってしまったこともあるのです。あまりに重要なミーティングだったので、こんな場面で失敗するなんて、とてもじゃないけれど許せないと思って。

 それは、若いメンバーが失敗したときの責任をとりたくないということですね。

そうですね。心苦しいですが、保身といわれれば、その通りかもしれません。

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