どうしたら、厳しい指摘を受け入れてくれるのか?

確かに、先生が主張されるように、一方的に命令したり、失敗を責めたてたりすることをやめて、若いメンバーが自ら責任を感じられるように働きかけ、自分の頭で解決策を考えてもらうとなると、確かに「このままだったら、どうなると思う?」「このままだったら、困るよね」といったいい方しか、思いつかないかもしれません。

 そこで「このままだったら、どうなると思うかね」といういい方をしたとき、あなたと若いメンバーの関係が悪ければ、相手はその言葉を皮肉や威嚇、挑戦として受け止めます。

逆に、わたしとメンバーの関係がよければ、「このままだったら、どうなると思う?」という働きかけが、相手の心に響くというわけですか。しかし、どうしたら、関係がよくなるのでしょう。

 2つの条件があります。「尊敬」と「信頼」です。

 ドイツの社会心理学者、エーリッヒ・フロムは、人のありのままの姿を見て、その人が唯一無二の存在、他の誰かに代えることができない存在であることを知る能力が「尊敬」であるといっています。

 若いメンバーが同じ失敗を繰り返すのは、リーダーの指導の仕方に問題があるからだと、先ほどいいました。しかし、それだけではありません。若いメンバーが、仕事に取り組む勇気を持てる援助ができていないということでもあります。

失敗を繰り返す部下を勇気づけるのもリーダーの役割だと、「先生」はいう(イラスト:PIXTA)
失敗を繰り返す部下を勇気づけるのもリーダーの役割だと、「先生」はいう(イラスト:PIXTA)

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