2000年代は情報と情報がつながることによって、オンライン化による多方面での進化が起きた。まず2008年にエアビーアンドビー、翌年にはウーバーが登場し、シェアリングエコノミーの時代が始まった。シェアリングエコノミーは、エアビーアンドビーなら家、ウーバーならクルマといったように、既存の資産を運用するという点で共生型産業といわれている。

 同時に起きたのが、知識の自由化だ。エンジニア同士が知識を交換し合うGitHub(ギットハブ)が登場し、オンライン大学のMOOC(Massive Open Online Course:大規模公開オンライン講座)が広がり始めたのもこの頃だ。特にオンライン化によってインターネットの恩恵を最大限に受けたのは、教育の無料化だろう。当時、中学生だった人たちは、ちょうど現在新社会人、または大学院の研究生になっている。まさに知識の自由化の恩恵を受けた世代が花開くタイミングにきているのだ。

 このように、ガレージや実験室などのオンライン化にAI技術の進化が組み合わさることによって、次第にディープテックの苗床が整えられていく。

 2010年ごろになると、ある特定のジャンルに特化した「特化型アクセラレーター」が登場する。例えばサンフランシスコの「インディーバイオ」のように、バイオなどのディープテックの領域だけに特化したアクセラレーターが生まれたのだ。

 これらが単なるメーカームーブメントと異なるのは、その動機が社会課題の解決にあること、つまりイシュードリブン(問題設定が前提)、ビジョンドリブン(ビジョン共有が前提)であることだ。リバネスが日本、シンガポールを中心に東南アジアでディープテックに特化したアクセラレーションプログラム「TECH PLANTER(テックプランター)」をスタートさせたのも2014年からだ。

 特にバイオは有望で、これまでなら大学院や企業の研究所というクローズドな場所で限られた人でのみ研究されてきた分、よりオープンでイノベーティブな環境ができたことで、この先、大きな飛躍が期待されている。

 さらにディープテックに追い風を吹かせたのが、社会課題を解決することが、国際社会における共通認識として可視化されたこと。2015年、国連総会で、各国の持続可能な開発目標である「SDGs」が採択されたことによって、社会課題の解決は国際社会の共通認識となった。

 また、ESG(環境・社会・企業統治)投資によって、環境や社会を改善していくための投資が推進されるようになった。テクノロジーの発達によって環境問題を改善していくことが、長期的ではあるもののリターンを見込めるビジネスになったことによって、中長期的な投資を呼び込んだ背景がある。

(この記事は、書籍『ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」』の一部を再構成したものです)

■訂正履歴
記載していたスタンフォード大学の設立年に誤りがありました。正しくは1891年となります。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2022/2/2 8:15]
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12/15ウェビナー開催、「外食を救うのは誰か」第1回――すかいらーく創業者の横川氏が登壇

 新型コロナウイルスの感染拡大から3年目となり、外食店に客足が戻りつつあります。一方、大手チェーンが相次ぎ店舗閉鎖を決定するなど、外食産業の苦境に終わりは見えません。どうすれば活気を取り戻せるのか、幅広い取材を通じて課題を解剖したのが、書籍『外食を救うのは誰か』です。
 日経ビジネスLIVEでは書籍発行に連動したウェビナーシリーズを開催します。第1回目は12月15日(木)19:00~20:00、「『安売りが外食苦境の根源だ』ファミレスをつくった男が激白」がテーマです。講師として登壇するのは1970年にファミリーレストラン「すかいらーく」1号店を開業した横川竟氏と、外食経営雑誌『フードビズ』の神山泉主幹です。書籍を執筆した記者の鷲尾龍一がモデレーターとなり、視聴者の皆様からの質問もお受けします。ぜひ、議論にご参加ください。

■日程:12月15日(木)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「安売りが外食苦境の根源だ」ファミレスをつくった男が激白
■講師:横川竟氏(すかいらーく創業者、高倉町珈琲会長)、神山泉氏(外食経営雑誌『フードビズ』主幹)
■モデレーター:鷲尾龍一(日経ビジネス記者)
■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。有料会員以外は3300円(税込み)となります。
※第2回は詳細が決まり次第ご案内します。

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