このような本題からそれた主張は、偏見に関する会話を複雑にする。そのため、その有効性ゆえに、本来対応すべき偏見への対処がおろそかになってしまう可能性がある。本稿の目的は、このような心理現象に関する認識を高めることにより、マネジャーが脱線的被害者意識の主張に惑わされることなく、職場における差別解消の責任を果たすことができるようにすることである。

「反論」に惑わされるな

 差別を受けた劣位集団メンバーは、偏った行動を上司に報告したり、それでも効果がなかった場合はメディアや裁判所に訴えたりすることで、自分たちが直面している差別に注目を集めることができる。

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