「B to B」(Business to Business、以下B2B)と「B for B」(Business for Business、以下B4B)の違いは何だろうか? これは単純に見えるが、会社を「B2B企業」から「B4B企業」へと再定義することが、売り上げ増や顧客維持率の上昇、社員の士気の向上につながるのだ。

 自社がB4B企業なのだと認識することでより深い目的意識が生まれ、社内のイノベーションやクリエーティビティーが刺激された。南米コロンビアのルーカーチョコレート(Luker Chocolate)での出来事だ。

 この会社はチョコレートを製造し、他の食品会社に原材料として供給している。著者の1人であるセルジオ・レストレポは、同社のイノベーション担当副社長を務める。

 数年前、彼はルーカーの営業チームのセールストークは大量購入に対する値下げのアピールが中心で、彼らは取引先の事業内容に関する知識に乏しいことに気付いた。従来のB2B的な考えでは「何トンのチョコレートを売ったか」だけが成功の指標であり、取引先に関する理解や顧客の事業発展をどう後押しできるか、といった尺度は含まれていなかった。

持続不可能な価格競争から脱却

 同社が価格に基づく持続不可能な競争戦略から脱却するためには、企業文化の再起動が必要だった。自社を「他社に製品を売る企業」ではなく、「他社のために働く企業」なのだという認識を持たなければならなかった。自社の成功の第1指標を「顧客の成長をいかに手助けし、事業の成功に寄与したか」に置くべきだったのだ。

 例えば、事業成長を目指す小さなクッキー会社のCEO(最高経営責任者)を支援するため、ルーカーは技術者を送り込み、製造工程や工場設計の改善を手伝った。さらに重要な市場情報や消費者分析の成果をCEOと共有するようにした。

ルーカーチョコレートは「Business for Business(B4B)」の考え方を企業経営に取り入れた(写真は同社ウェブサイトから)
ルーカーチョコレートは「Business for Business(B4B)」の考え方を企業経営に取り入れた(写真は同社ウェブサイトから)

 ルーカーは事業成長チームを編成し、(顧客に対して)付加価値の高い支援サービスを無償で提供するようにした。クッキー会社が製品包装を改善するのを助けるデザインチームはそうした取り組みの1つだ。クッキー会社を支援した事例では、新たにカナダの大手小売店に商品を並べることに成功し、スーパーマーケットでの売り上げも伸びた。

 ルーカーはこのクッキー会社のCEOと手を組み、クッキーブランドにイノベーションを起こす強固な計画も作り上げた。それによってクッキー会社の売り上げは徐々に拡大し、潜在顧客とのつながりを持つこともできた。

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