パーソナライゼーションの波は、金融・保険業界にも(写真:PIXTA)
パーソナライゼーションの波は、金融・保険業界にも(写真:PIXTA)

 私たちの日々の暮らしは、パンデミック(世界的大流行)によって大きく変化し、その変化の多くは、今や永続的なものとなっている。これは、規模の大小を問わずビジネスの課題であると同時に、チャンスでもある。

 この変革から影響を受けたのは、米Zoomや米ネットフリックスだけではない。最近の調査で、損害保険の顧客が保険会社のウェブサイトやモバイルアプリに大きな期待を寄せていることが明らかになった。

 遠隔医療も急拡大している。消費者が遠隔医療を日常的に利用するようになり、米国の州が遠隔医療の保険適用範囲を拡大したため、利用が2021年に36%も増加した。銀行のアプリを利用する消費者も急増し、支店への来店は減少している。このような傾向は決して若い世代だけではなく、高齢者たちにも見られる。

 こうした変化は決し突然起こったわけではない。だがこの2年間の行動変化は、間違いなく新型コロナウイルスによって加速されたと言える。オンデマンドやデジタルファーストの恩恵を日常的に享受する機会が増えた今、顧客満足度や熱狂的なファンづくりに関する従来の常識は一変した。

 デジタルファーストで顧客との接点が爆発的に増加する中で、ビジネスリーダーは他社との差別化を図るために、データとアナリティクス(データ解析による経営支援)の活用をますます進めている。これらの活用によって消費者のニーズを的確に予測し、適切なタイミングで「人間らしい」顧客体験を提供することができる。

ミリ秒単位の経済

 デジタルファーストによる顧客エンゲージメントの台頭は、あらゆる業界に変化をもたらした。しかしこれらの根幹にあるのは、迅速な意思決定だ。どの特典を顧客に宣伝するか、どの顧客に融資をするか、最適な商品をいかに提案するかなど、ビジネスのあらゆる局面で瞬時に決定し、実行することが求められる。

 消費者は、取引の実行、保険の比較検討、重要書類へのアクセス、新しいテレビドラマの視聴などを瞬時にすませることを期待している。求められる速度は従来よりも速くなり、我々はついに「ミリ秒(1000分の1秒)単位の経済」に突入した。

 消費者の期待に応えるため、企業はテクノロジー、データ、アナリティクス、クラウドソリューションを活用し、このような体験を可能にするのに必要なスピードと精度を両立させなければならない。

 例えば、販売時点融資の市場を見ると、オンラインや店舗で商品を購入した際に消費者が即時の短期融資を受けて月賦で支払うBNPL (Buy Now, Pay Later: 日本で言うリボ払いに近いもの)が増加している。BNPLの利用は、(米インサイダー・インテリジェンスによると)2025年までに世界で6800億ドル(約86億円)になると見込まれている。

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