この10年間で、サイケデリックの分野に対する臨床的関心が再び高まり、世界的な研究機関が学際的な研究に取り組むことで、有望な結果が得られている。(これには、スイス・チューリヒ大学、英インペリアル・カレッジ・ロンドン、サイケデリック研究の学際協会、米ジョンズ・ホプキンス大学、ヴェイスタンフォード大学などいくつかの研究センターが含まれる)。
スイスなど一部の国では、数十年前から精神科の治療や研究のために、高度に管理された方法でサイケデリックが承認されてきた。対して米国でも、食品医薬品局(FDA)による特定のサイケデリック物質の薬としての承認を支持する動きが強まっている。
ビジネスの世界に目を向けると、(合法的な)サイケデリック・ドラッグの世界市場は、年平均成長率14.5%で拡大し、2026年には63億ドルに達すると予想されている。そのため、ビジネスリーダーや投資業界からの注目度が高まっている。
例えば、スイスのダボスで開催された22年の世界経済フォーラム(WEF)では、メンタルヘルスの分野に革命をもたらす可能性のあるサイケデリックの将来について、豊富な知識を持つ学者やリーダーを集めて議論することを目的に、「メディカルサイケデリックハウス」が開催された。
薬物の合法的な研究と使用を支援する業界団体が世界中に出現し、多くの小規模なベンチャー企業と並んで、atai Life Sciences社やCOMPASS Pathways社などの大手上場企業が数億ドルの資金を調達している。
サイケデリックの効果について科学が示すもの
サイケデリックに関する研究と投資が爆発的に増えている理由は何だろうか? それは、科学的研究により、人々の生活をより良く変えることができる無数の潜在的な用途が発見されたからだ。
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