我々の研究では、アグネスのようなメンターがメンティーとの関係性を「不公平な(社内)構造や文化への適応を促すチャンス」としか捉えられない場合、メンタリングの価値が無くなってしまうことを示している。アグネス自身が、メンタリングを「自分の所属する組織にはびこる有害な通例に疑問を投げかけるチャンスだ」と気付かなければ、女性(特に有色人種の女性)と白人男性の間にある、不平等な力関係を強めるような慣習を続けることに加担してしまう。
しかしもし、アグネスのようなメンターがラティカのようなメンティーと手を組み、会社が寄せる期待に思考停止して従えば、短期的には昇進などの恩恵が得られるものの、(職場の)健全性や公正性といった長期的な目標の達成を阻んでしまう、ということに気付き、共に考えることができれば、メンタリング関係は組織に変革を起こす手段になり得るだろう。
社内文化を変えるためのメンタリング
相互に信頼し合えるパートナーシップとは、相手を尊重し、弱さと強さの両方を大切にできる関係性だ。これを築けるかどうかは、メンターがメンタリング関係を単なるスキルアップの場ではなく、アイデンティティー・ワークの場として捉えられるかにかかっている。
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