「太陽」と「頂」を表現

 ここでは、ヨーロッパのアメーラのロゴができあがるプロセスと、ロゴに込められた想いをみてみよう。

 まず、次の写真を見てほしい。

 この写真の赤色の丸は、トマトの赤でもあり、日本国旗の「日の丸」でもある。アメーラが日本発のトマトであることを示す。日本の国旗は、世界一シンブルだ。日の丸は、アメーラのブランド戦略の軸である「引き算の発想」も表現している。

 アメーラが生まれた静岡県には、日本一高い富士山がある。富士山の頂は、アメーラが品質の頂点を目指すことを示している。

日の丸と富士山(日本)
日の丸と富士山(日本)
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 次に、もう1枚の写真を見てみよう。

真っ赤な太陽とベレッタ山(スペイン)
真っ赤な太陽とベレッタ山(スペイン)
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 中心の赤い太陽は、情熱と太陽の国「スペイン」のアイコンだ。日本人がスペインのトマトと聞いて思い浮かべるイメージは、「真っ赤」「太陽」である。

 アメーラを生産するスペインのグラナダ県には、シエラネバダ山脈の3300mを超えるベレッタ山がある。シエラネバダ山脈からの伏流水で、アメーラはつくられている。富士山同様、ベレッタ山の頂は、アメーラが最高品質(頂上)を追求し続けることを表現している。

 日本とスペインの連携を示す「赤い丸」から、両国を象徴する山の「頂」を引き算したデザイン。それがアメーラのヨーロッパのロゴだ。

アメーラの欧州ロゴ
アメーラの欧州ロゴ
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 赤の丸から、山頂を切り取ったデザインは、アメーラのブランドづくりの軸である“引き算”の発想も示唆している。

 このロゴは白地に赤で、とてもシンプルかつ個性的だ。誰にでも書けるだろう。記憶にも残りやすい。海外の消費者がリピート購入するときの目安になる。

 ロゴは、名刺や小さなシールなどにも利用されるが、このデザインであれば、縮小しても識別可能だ。

 世界ブランドを生み出す、良いロゴの条件をまとめておこう。

良いロゴの条件
  ・ブランドアイデンティティを反映している
  ・シンプル
  ・情緒に訴える
  ・独自性がある
  ・一目でみて分かる
  ・縮小しても識別できる
  ・飽きないデザイン
  ・時代を超えて通用する

日経BOOKプラス 2022年5月20日付の記事を転載]

輸出したのはトマトではない、「ブランド戦略」である!

 静岡の小さな農業者グループがつくる日本発のトマトが、なぜ、トマトの本場スペインで 最も高く売れるようになったのか?

 どうすれば日本発のブランドを、世界ブランドに育てられるのか?

 ブランドの「軸」づくり、市場調査、イメージの訴求に始まり、ネーミング、ロゴ、パッケージデザインまで、実践プロセスと理論を“掛け算”しながら、その答えを探索し、具体的に提示する。海外市場を目指す企業、必読の書!

岩崎邦彦(著) 日本経済新聞出版 1870円(税込み)

この記事はシリーズ「「世界で勝つブランドのつくりかた」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。