・航空需要の回復を取りこぼさない機材繰りが肝
・航空大手、傘下LCCとの共存策で収益最大化
・鉄道大手、利用客の減少を前提に構造改革加速
新型コロナウイルス禍が巻き起こってから約2年。航空・鉄道業界は移動需要の急減に苦しみ続けてきた。ANAホールディングス(HD)と日本航空(JAL)が2020年4月から21年9月の間に出した赤字額は最終損益で計9000億円弱。JR東日本・東海・西日本の3社で計1兆3000億円弱だ。
戻ってきた国内線需要
航空業界には明るい兆しも見えつつある。断続的な新型コロナの感染再拡大と緊急事態宣言の発令という逆風に見舞われながらも、徹底的なコスト削減と、好況な貨物需要の取り込みによって四半期ごとの赤字幅は徐々に縮小。21年10月以降は新型コロナの新規感染者数が急激に落ち込み、国内線需要は力強さを戻し始めた。
●航空大手2社の四半期ごとの業績推移

ANAHDは22年1~3月期に営業利益ベースで、JALは単月で22年3月までにEBIT(利払い・税引き前損益)が黒字転換すると見込む。実現には、コロナ禍が収束に向かうことが不可欠だが、従前続けてきたコストカットなどの取り組みを需要回復期に継続できるかも鍵を握る。
大手2社はコロナ禍を経て保有する航空機の数を大幅に減らしており、収益を最大化するための機材繰りの巧拙は22年の業績回復の行方を大きく左右する。政府が旅行代金を補助する「Go To トラベル」事業の再開など様々な要因を鑑みながら、需要の増減に応じて柔軟に便数を調整し、旺盛な需要を取り込むべく、機材を貨物事業に振り向ける。
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