世界でCOVID‐19に対するワクチン接種が進み、日本では2021年11月には、全国の1日当たりの感染者数が50人を切るまで激減した。観光地で旅行客が増えるなど、経済の本格回復が始まったかに見えたが、11月末、変異型「オミクロン株」の出現で状況は一変した。

追加接種が本格化するワクチン。2022年には国産ワクチンの実用化も期待される(写真=AFP/アフロ)
追加接種が本格化するワクチン。2022年には国産ワクチンの実用化も期待される(写真=AFP/アフロ)

 米国では、それまでのインフレ懸念が一転し、上昇傾向にあった長期金利が下落。高騰していた原油価格も反落した。

 日本国内ではもともと感染拡大の第6波に対する強い懸念があり、オミクロン株出現という事態を重く見た政府は海外からの入国者を規制するなど、踏み込んだ水際対策を取った。だが一つの変異株の出現が経済や社会に広く影響を与える現実を見ると、新型コロナ感染症によるリスクの大きさを改めて意識せざるを得ない。3回目以降のワクチン追加接種、有効な治療薬の開発が急がれる中で、2022年が始まる。

 日本ではバブル崩壊後、30年にわたって低成長が続き、物価が上がらないデフレ傾向が続いたが、22年は食パンをはじめ、原料である小麦、しょうゆや酒、ソーセージなど食品の値上げが続く。食品だけではない。一度、コロナ禍が落ち着くと、需要が急回復し、原油をはじめ資源や製品の価格も上昇、さらに物流コストも上昇するなど、世界であらゆる物の価格が上がっていく。

 そこで政府は企業の賃上げを促すため、一定の賃上げを条件に法人税の控除率を引き上げる、賃上げ優遇税制を打ち出した。岸田不文雄首相は「コロナ前の業績水準を回復した企業は春闘で3%超の賃上げを」と求める。いわゆる「アメとムチ」の税制の圧力に対し、「本当に必要なのは生産性の向上」との声もある。

 22年には日本の課題である少子高齢化対策も用意されている。4月からは不妊治療が健康保険の対象となる。また育児・介護休業法が変わり、分割取得や、休業中の一部就労を認めるなど、男女の別なく育児休業を取りやすくする。高齢者については、公的年金の受給開始年齢の上限を従来の70歳から75歳に引き上げる。定年延長の施策と併せて高齢者の就労を促す。

物価上昇、少子高齢化などの国内問題に加え、米中との関係づくりも大きな課題だ(写真=Pool/Getty Images)
物価上昇、少子高齢化などの国内問題に加え、米中との関係づくりも大きな課題だ(写真=Pool/Getty Images)

 海外に目を転じると、22年は米国では中間選挙、中国では5年に1度の共産党大会という大きな政治イベントが秋に控えている。2つの超大国は対立を深めているが、中国が共産党大会で習近平氏を中心とする体制強化を図る一方で、バイデン大統領の民主党は中間選挙での苦戦も予想される。

 特に台湾情勢をめぐって米中が緊張を増す中で、東アジアの平和をいかに守るか、日本の役割が改めて問われる。

 2月には北京で冬季オリンピック、パラリンピックが開催されるが、米欧が政府関係者派遣の見送りを発表するなど、平和の祭典のはずの五輪も米中対立の影響を受けている。

 22年も国際的な環境への取り組みは続く。フランスでは食品などのプラスチック包装が禁止になる。日本でもプラスチック製スプーンやフォークやハンガーなど12品目が新たに規制の対象となり、有料化などの動きが広がると見られる。プラスチックは焼却時のCO2排出とともに、海洋汚染が問題視されており、企業のプラスチックの扱い方には、一段と厳しい監視の目が向けられそうだ。

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