新型コロナウイルスの感染拡大で経済が縮小した欧州では、各国が環境投資の拡大で景気回復を図ろうとしている。ドイツの新政権でも、同様の政策を持つ緑の党が存在感を高めている。欧州の復興計画や政治経済の見通しについて、国際ジャーナリストのビル・エモット氏に聞いた。

(聞き手は ロンドン支局、大西 孝弘)

<span class="fontBold">ビル・エモット(Bill Emmott)</span><br>1956年生まれ。英エコノミスト誌の元編集長。東京支局長を経験した知日派。イタリア人ジャーナリストで映画監督のアナリサ・ピラス氏とNPO(非営利団体)「The Wake Up Foundation」を設立。同NPOの会長として、西欧社会の衰退に警鐘を鳴らす。このNPOの活動の一環として、イタリアを題材にした欧州危機のドキュメンタリー映画「Girlfriend in a Coma」も公開した。(写真=永川 智子)
ビル・エモット(Bill Emmott)
1956年生まれ。英エコノミスト誌の元編集長。東京支局長を経験した知日派。イタリア人ジャーナリストで映画監督のアナリサ・ピラス氏とNPO(非営利団体)「The Wake Up Foundation」を設立。同NPOの会長として、西欧社会の衰退に警鐘を鳴らす。このNPOの活動の一環として、イタリアを題材にした欧州危機のドキュメンタリー映画「Girlfriend in a Coma」も公開した。(写真=永川 智子)

2021年はドイツやノルウェーなど欧州の選挙で中道左派が勝利しました。この傾向は続くと思いますか。

ビル・エモット氏(以下、エモット):08年の金融危機や20~21年の新型コロナウイルスのパンデミックのような大きな危機が起きた時、現職の政治家が批判を免れて政権を維持するのは、とても難しいものです。

 08年に異質だったのは、ドイツのメルケル首相とキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が政権を握り続けたことでした。それ以外の多くの国では、政権が交代しています。主な変化は左派か右派へ動くのではなく、多くの場合、ポピュリズムへと向かうものとなりました。

 今、重要なことは、21~22年にも同じ現象が起きるのかということです。ドイツでは一部そうした変化が見られました。CDU・CSUにとって悪い結果となった背景には、16年間もの長い間政権を握っていたことへの反発がありました。また、新型コロナウイルスと経済への対応への批判も当然ながら避けられませんでした。

 そのため、ドイツ政府が左派へ方向転換したとは思いません。フランスでは、左派が勝つ可能性は低く、中道派か右派のどちらか、つまりマクロン政権か右派の党の政権となります。スペインでは、左派が政権を握っていますが、現在は大変弱体化しており、負ける可能性が高いでしょう。イタリアでは、22年に選挙は開催されないかもしれませんが、もしされたとしたら、中道右派が強くなると思います。

次ページ ドイツ緑の党に期待