誰も触れないGAFA

21年はグーグルやフェイスブック(現メタ)といった米国のテック大手が独占的に消費者データを保有していることが話題になりました。以前、「テック大手が地政学における重要なプレーヤーとなりつつある」と指摘していましたが、具体的にはどういうことでしょうか。

ブレマー:彼らはデジタルの世界で誰からも脅かされることのない完全な「権力」を手に入れています。彼らの世界は彼らが創り上げたアルゴリズムやルールにのっとって動いています。現時点では米政府ですら統制することができません。

 あなたが過去にどの商品を購入したのか、その傾向から次に買うのはどんな商品なのかを予想し、見合った広告を見せて購入を促す。20年の米大統領選では現職の大統領ですら彼らが定めたルールに従うしかありませんでした。そう考えれば、いかに我々が「特異な状況」に置かれているかが分かります。

 22年以降も、最も危惧すべきは国家安全保障上の問題です。彼らが手にしているデータは常にサイバー攻撃の脅威にさらされていますが、それに対してどうするかを決めるのは国家ではなく彼らです。

 この強大な力を持ったテック企業は中国でも日本でも欧州でもなく、米国にあります。これが地政学的に何を意味するのか。国際情勢を語る上でも、国家だけでなく彼らの存在も含めて考えなければ見誤ります。地政学的に非常に興味深い「過渡期」にあるのです。

ユーザーは「商品」

中でもフェイスブックは内部告発者が米議会の証人喚問に応じるなどやり玉に挙がっています。22年以降、米国でもテック企業を規制する方向に動いていくでしょうか。

ブレマー:たくさんの人が彼らに怒りを感じています。偽アカウントでフェイクニュースがあたかも本当であるかのように流布されているのに、これに立ち向かおうとはしていません。アカウントを停止されたドナルド・トランプ前大統領も彼のサポーターも、インスタグラムの情報に振り回されている10代の若者も彼らを守ろうとする大人も、人種差別を喚起しようとする人も反対する人も、立場は違っても皆、怒っています。ブランドイメージに傷がついたことは間違いないでしょう。

ブランドイメージの復活を狙いマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は社名を変更。(写真=AFP/アフロ)
ブランドイメージの復活を狙いマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)は社名を変更。(写真=AFP/アフロ)

 ただこれが同社に致命的なダメージを与えたかというと、そうは思いません。問題が浮上した後に彼らが取った行動は、社名をメタに変えて仮想空間「メタバース」への流入を増やそうとするものでした。彼らの顧客は消費者ではなく広告主。そして消費者は彼らの「商品」、つまり売る物なのです。

 この行動から彼らは規制など恐れてはいない、ビジネスモデルそのものを変えるつもりはないのだと悟りました。

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